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子会社の事業譲渡に伴い債権放棄した場合の損金算入を否定

 親会社が企業グループの財務改善計画の一環として行った子会社の事業譲渡の際にその子会社に有していた債権の全額を放棄したことを巡って、その債権の額が貸倒損失に該当するか否かの判断が争われた事件で東京地裁(岩井伸晃裁判長)は、債権放棄額が法人税基本通達9-6-1(4)の適用を受けるものではなく、貸倒損金に該当するものとして法人税法22条3項3号に従って損金算入を認めることはできないと判示して、棄却した。

 この事件は、親会社が企業グループの財務改善計画の一環として行った子会社の事業譲渡の際にその子会社2社に対して有していた債権の全額を放棄した後、放棄した債権の額10億円弱を損金に算入して法人税の申告をしたのが発端。これに対して原処分庁が、債権放棄額は寄附金の額に該当するとして申告内容を否認、法人税の更正処分をしてきたため、親会社側がその一部(親会社の所得金額を超える部分及び繰越欠損金額を下回る部分)の取消しを求めて提訴したという事案である。

 法人側は、金融機関側の要請の下、不良資産となっていた子会社2社に対する債権の処分方法として事業譲渡及び特別清算に伴う債権放棄を実施したものであり、債権放棄によって子会社2社への資金流失を回避できるとともに、グループ内の財務改善(有利子負債の圧縮)が可能となるから、法人税基本通達9-4-1の適用によって寄附金には該当せず、損金の額に算入されるべきであると主張した。

 しかし判決は、親会社がグループ内の財務改善計画の一環として行った子会社の事業譲渡に伴ってその子会社に対して有していた債権の全額を放棄した場合に、その子会社の資産状況や支払能力等、債権者らの子会社とのグループ関係や債権回収に未着手の状況等、さらに親会社の主力取引銀行による財務改善要請の内容等の経済的環境等に照らし、親会社が無条件に債権放棄に係る損失を全額負担することに経済的合理性の観点から特段の必要性があったとは認められないと認定。

 結局、そうした事情を鑑みれば、債権の額につき、法人税法22条3項3号が定める「当該事業年度の損失の額」に含まれる貸倒損失に該当するものとして損金の額に算入することはできないと判示して、棄却した。

                (2017.01.19東京地裁判決、平成25年(行ウ)第414号)

提供元:21C・TFフォーラム(株式会社タックス・コム)



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3月31日更新

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 親会社が企業グループの財務改善計画の一環として行った子会社の事業譲渡の際にその子会社に有していた債権の全額を放棄したことを巡って、その債権の額が貸倒損失に該当するか否かの判断が争われた事件で東京地裁(岩井伸晃裁判長)は、債権放棄額が法人税基本通達9-6-1(4)の適用を受けるものではなく、貸倒損金に該当するものとして法人税法22条3項3号に従って損金算入を認めることはできないと判示して、棄却した。 この事件は、親会社が企業グループの財務改善計画の一環として行った子会社の事業譲渡の際にその子会社2社に対して有していた債権の全額を放棄した後、放棄した債権の額10億円弱を損金に算入して法人税の申告をしたのが発端。これに対して原処分庁が、債権放棄額は寄附金の額に該当するとして申告内容を否認、法人税の更正処分をしてきたため、親会社側がその一部(親会社の所得金額を超える部分及び繰越欠損金額を下回る部分)の取消しを求めて提訴したという事案である。 法人側は、金融機関側の要請の下、不良資産となっていた子会社2社に対する債権の処分方法として事業譲渡及び特別清算に伴う債権放棄を実施したものであり、債権放棄によって子会社2社への資金流失を回避できるとともに、グループ内の財務改善(有利子負債の圧縮)が可能となるから、法人税基本通達9-4-1の適用によって寄附金には該当せず、損金の額に算入されるべきであると主張した。 しかし判決は、親会社がグループ内の財務改善計画の一環として行った子会社の事業譲渡に伴ってその子会社に対して有していた債権の全額を放棄した場合に、その子会社の資産状況や支払能力等、債権者らの子会社とのグループ関係や債権回収に未着手の状況等、さらに親会社の主力取引銀行による財務改善要請の内容等の経済的環境等に照らし、親会社が無条件に債権放棄に係る損失を全額負担することに経済的合理性の観点から特段の必要性があったとは認められないと認定。 結局、そうした事情を鑑みれば、債権の額につき、法人税法22条3項3号が定める「当該事業年度の損失の額」に含まれる貸倒損失に該当するものとして損金の額に算入することはできないと判示して、棄却した。                (2017.01.19東京地裁判決、平成25年(行ウ)第414号)
2017.08.01 10:39:58