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株価通達で適正な時価を算定できない特段の事情は存しないと判示

 取引相場のない株式の評価額の判断方法が争われた事件で東京地裁(舘内比佐志裁判長)は、財産評価基本通達及び株価通達は株式の時価を算定する方法として一般的な合理性を有し、その評価方法によって適正な時価を適切に算定できない特段の事情も存しないことから、原処分庁による株式の評価に違法性はないと判示して、納税者側の訴えを棄却した。

 この事件は、第一次相続に係る相続税の決定処分及び無申告加算税の賦課決定処分、第二次相続に係る相続税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分を受けた相続人が、その一部取消しを求めて提訴したもので、被相続人が所有していた土木・建築の設計監理業等を目的とする法人の取引相場のない株式の評価額の算定が争点になった事案である。

 相続人側は、1)資本金の額は昭和56年の商法284条の2の改正時点から、株式の発行会社が資本金に組み入れない額をある程度自由に決定できるようになったのであるから、資本金の額に組み入れる額の多寡によって、資本金の額を50円とした場合の株式数が変動するため正確な株価が算出されなくなる、また2)標本会社の業種目の分類を株価通達は原則、日本標準産業分類に拠るとしているにもかかわらず、平成14年新設の情報通信業は平成21年改定まで大分類化されていなかったのであるから、平成18年分株価通達は合理性がなく、類似業種の株価は平成19年分換算計算によって算定された平成19年分株価通達による類似業種の株価を用いるべきであるという主張を展開して、原処分の取消しを求めた。

 しかし判決は、株価通達上、業種目の分類は原則、日本標準産業分類によるとされているものの、業種目の分類上、日本標準産業分類に拠らなくてはならない旨の法令の規定はなく、統計の相互比較性と利用の向上を図ることを目的とした日本標準産業分類と、評価通達182及び183-2に根拠を有し、取引相場のない株式を評価することを目的に定められた株価通達とでは、その目的及び根拠を異にするから、業種目の分類が日本標準産業分類と完全に一致しないことをもって、株価通達が合理性を欠くとはいえないと指摘。

 その上で、株価通達の評価方法によって適正な時価を適切に算定することができない特段の事情も存しないことから、原処分庁の株式評価に違法性はないと判示して、相続人側の請求を棄却した。

               (2016.09.16東京地裁判決、平成25年(行ウ)第397号)

提供元:21C・TFフォーラム(株式会社タックス・コム)

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7月18日更新

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 取引相場のない株式の評価額の判断方法が争われた事件で東京地裁(舘内比佐志裁判長)は、財産評価基本通達及び株価通達は株式の時価を算定する方法として一般的な合理性を有し、その評価方法によって適正な時価を適切に算定できない特段の事情も存しないことから、原処分庁による株式の評価に違法性はないと判示して、納税者側の訴えを棄却した。 この事件は、第一次相続に係る相続税の決定処分及び無申告加算税の賦課決定処分、第二次相続に係る相続税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分を受けた相続人が、その一部取消しを求めて提訴したもので、被相続人が所有していた土木・建築の設計監理業等を目的とする法人の取引相場のない株式の評価額の算定が争点になった事案である。 相続人側は、1)資本金の額は昭和56年の商法284条の2の改正時点から、株式の発行会社が資本金に組み入れない額をある程度自由に決定できるようになったのであるから、資本金の額に組み入れる額の多寡によって、資本金の額を50円とした場合の株式数が変動するため正確な株価が算出されなくなる、また2)標本会社の業種目の分類を株価通達は原則、日本標準産業分類に拠るとしているにもかかわらず、平成14年新設の情報通信業は平成21年改定まで大分類化されていなかったのであるから、平成18年分株価通達は合理性がなく、類似業種の株価は平成19年分換算計算によって算定された平成19年分株価通達による類似業種の株価を用いるべきであるという主張を展開して、原処分の取消しを求めた。 しかし判決は、株価通達上、業種目の分類は原則、日本標準産業分類によるとされているものの、業種目の分類上、日本標準産業分類に拠らなくてはならない旨の法令の規定はなく、統計の相互比較性と利用の向上を図ることを目的とした日本標準産業分類と、評価通達182及び183-2に根拠を有し、取引相場のない株式を評価することを目的に定められた株価通達とでは、その目的及び根拠を異にするから、業種目の分類が日本標準産業分類と完全に一致しないことをもって、株価通達が合理性を欠くとはいえないと指摘。 その上で、株価通達の評価方法によって適正な時価を適切に算定することができない特段の事情も存しないことから、原処分庁の株式評価に違法性はないと判示して、相続人側の請求を棄却した。               (2016.09.16東京地裁判決、平成25年(行ウ)第397号)
2017.07.18 14:45:30