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実質的に退職と同様の事情にあったとは認められないと判示、棄却

 前代表取締役に支払った退職慰労金の損金算入の可否が争われた事件で東京地裁(岩井伸晃裁判長)は、役員としての地位又は職務の内容が激変して実質的に退職と同様の事情にあったとは認められないと認定した上で、法人税法34条1項括弧書きが定める「退職給与」には該当しないと判示、法人側の訴えを棄却した。

 この事件は、法人税の確定申告書及び修正申告書の提出後、前代表取締役に支払った退職慰労金が損金に算入されるべきであるとして更正の請求をしたのが発端。これに対して原処分庁が、前代表取締役は退任後も退任前と同様の業務を行っているため、損金算入はできないと判断して更正をすべき理由がない旨の通知処分をしてきたため、法人側がその取消しを求めて提訴したという事案で、分掌変更に伴う退職慰労金が、法人税法34条1項括弧書きの「退職給与」に該当するか否かが争点になっていた。

 法人側は、前代表取締役の月額報酬が代表取締役を退任する前の額から約3分の1相当額に引き下げられていることを挙げて、前代表取締役の地位や職務上の権限及び責任に激変があったことを示す事実であると主張するとともに、従前と同様の職務を行っていないのは明らかとも主張して、原処分の取消しを求めた。

 判決はまず、損金に算入しない役員給与から役員退職給与を除外している理由に触れた上で、通達は分掌変更等の際に退職給与として支給される金員を損金算入できる場合の例示等を定めたものであると解釈。その趣旨及び解釈に沿って事実関係を整理して、代表取締役退任後も、経営内容を確認して助言や指導を行うなど経営上の重要な情報に接するとともに個別案件の経営判断にも影響を及ぼし得る地位にあり、10万円超の支出の決済にも関与していたことが認められると指摘。

 そうした事情を踏まえれば、代表取締役退任後も、役員給与の支給や退職金勘定への計上の前後を通じて、引き続き相談役として経営判断に関与し、対内的にも対外的にも主要な地位を占めていたことが認められ、役員としての地位又は職務の内容が激変して実質的に退職したと同様の事情にあったとは認められないと判示して、棄却している。

               (2017.01.12東京地裁判決、平成27年(行ウ)第204号)

提供元:21C・TFフォーラム(株式会社タックス・コム)



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3月10日更新

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 前代表取締役に支払った退職慰労金の損金算入の可否が争われた事件で東京地裁(岩井伸晃裁判長)は、役員としての地位又は職務の内容が激変して実質的に退職と同様の事情にあったとは認められないと認定した上で、法人税法34条1項括弧書きが定める「退職給与」には該当しないと判示、法人側の訴えを棄却した。 この事件は、法人税の確定申告書及び修正申告書の提出後、前代表取締役に支払った退職慰労金が損金に算入されるべきであるとして更正の請求をしたのが発端。これに対して原処分庁が、前代表取締役は退任後も退任前と同様の業務を行っているため、損金算入はできないと判断して更正をすべき理由がない旨の通知処分をしてきたため、法人側がその取消しを求めて提訴したという事案で、分掌変更に伴う退職慰労金が、法人税法34条1項括弧書きの「退職給与」に該当するか否かが争点になっていた。 法人側は、前代表取締役の月額報酬が代表取締役を退任する前の額から約3分の1相当額に引き下げられていることを挙げて、前代表取締役の地位や職務上の権限及び責任に激変があったことを示す事実であると主張するとともに、従前と同様の職務を行っていないのは明らかとも主張して、原処分の取消しを求めた。 判決はまず、損金に算入しない役員給与から役員退職給与を除外している理由に触れた上で、通達は分掌変更等の際に退職給与として支給される金員を損金算入できる場合の例示等を定めたものであると解釈。その趣旨及び解釈に沿って事実関係を整理して、代表取締役退任後も、経営内容を確認して助言や指導を行うなど経営上の重要な情報に接するとともに個別案件の経営判断にも影響を及ぼし得る地位にあり、10万円超の支出の決済にも関与していたことが認められると指摘。 そうした事情を踏まえれば、代表取締役退任後も、役員給与の支給や退職金勘定への計上の前後を通じて、引き続き相談役として経営判断に関与し、対内的にも対外的にも主要な地位を占めていたことが認められ、役員としての地位又は職務の内容が激変して実質的に退職したと同様の事情にあったとは認められないと判示して、棄却している。               (2017.01.12東京地裁判決、平成27年(行ウ)第204号)
2017.07.04 12:38:19