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「取引相場のない株式等の評価」で通達

 国税庁は5月15日、取引相場のない株式等の評価の見直しを盛り込んだ「財産評価基本通達の一部改正」(4月27日付)と、この通達を解説した「あらまし」(4月28日付)を公表した。通達改正は、取引相場のない株式等の評価について、類似業種比準方式と会社規模の判定基準を見直すもので、本年1月1日以後に相続、遺贈、贈与により取得した財産の評価から適用する。国税庁では通達案を3月までパブコメにしていた。

 類似業種比準方式は、評価対象となる非上場会社と事業内容が類似している上場会社の株価、1株当たりの配当金額・利益金額・簿価純資産価額を基にして、評価会社の株価を算定する方法。類似する上場会社の株価は、課税時期の属する月以前3ヵ月間の各月の株価のうち最も低いものと、前年平均株価のいずれかを納税者が選択できる。改正では、上場会社の株価の上昇局面での急激な変動を中小企業の株価にそのまま反映させず平準化するため、2年間平均も選択肢に加えた。

 改正前の類似業種比準方式による株価算定の算式では、類似業種の3つの比準要素である1株当たりの配当金額、利益金額、簿価純資産価額の比重は1:3:1で利益が重視され、他の比準要素の3倍となっていた。これは平成12年の評価通達改正時に上場会社のデータに基づき最も適正に株価算定がされると認められたことから見直したものだが、改正では現状を踏まえ、1:1:1にした。なお、比重の見直しに伴い算式の分母の数字を5から3に変更している。

 取引相場のない株式等の発行会社の規模は、上場会社に匹敵するようなものから、個人企業と変わらないものまで様々であることから、これらの会社を、従業員数、総資産価額・従業員数、年間取引金額の判定基準により、大会社、中会社、小会社に区分したうえで、会社区分に応じ、大会社は「類似業種比準方式」、小会社は1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)による「純資産価額方式」、中会社は大会社と小会社の評価方法を併用する「併用方式」で株価を評価している。会社規模は、現行は、従業員数100人以上は大会社とし、100人未満は総資産価額・従業員数、年間の取引額で大、中、小を判定している。

 改正により、大会社に区分される従業員数基準を現行の100人以上から70人以上に引き下げるとともに、総資産価額・従業員数、年間の取引金額規準も引き下げることで、大会社及び中会社の適用範囲を拡大した。

 また、中会社の株式評価方法である「併用方式」の算式は、類似業種比準価額×L+1株当たりの純資産価額×(1-L)で、Lの値(割合)は、卸売業、小売・サービス業、それ以外の業種ごとに総資産価額・従業員数又は年間取引金額に応じて、これらが多いほど割合が高く、0.9、0.75、0.6の3区分になっているが、改正により、総資産価額・従業員数及び年間取引金額を引き下げたことから、Lの割合が高まることになる。

同改正通達を解説したあらましはこちら

提供元:21C・TFフォーラム

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2017.05.18 17:27:42