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地方税滞納、時効で消滅分は393億円で過去最低

 平成27年度に時効で消滅した地方税の滞納分は、前年度比25.4%減の393億円となり、11年度の統計開始以来、過去最低となったことが、総務省がまとめた27年度の地方税の不納欠損処理額で分かった。地方税は、納付期限の翌日から起算して5年で時効によって徴収権が消滅する。地方税の消滅時効分は初めて300億円台に減ったが、この背景には、景気回復での滞納の減少や、自治体による徴収対策の強化があるとみられている。

 地方税の不納欠損処理額は、そのほか、「滞納処分の執行停止3年継続」に基づくものが前年度比14.3%減の442億円、「滞納処分の執行停止に係る即時償却」に基づくものが同9.5%減の431億円あった。地方税法では、滞納者に滞納処分できる財産がないときや滞納処分すると生活が著しく窮迫させる恐れがあるときなどは滞納処分の執行停止ができ、その執行停止が3年継続したときは、徴収権が消滅するとされている。

 上記の結果、平成27年度における不納欠損処理額合計は、「地方税の消滅時効」に基づくものが393億円、「滞納処分の執行停止3年継続」が442億円、「滞納処分の執行停止に係る即時償却」が431億円の1266億円(前年度比16.7%減)となる。この不納欠損処理額の税収に対する割合は0.32%(前年度0.41%)となっている。

 地方自治体では、歳入の確保が課題となるなか、徴収対策を強化。例えば、それぞれの自治体単独では徴収できなかった滞納分を、広域で連携して徴収事務を共同処理する「京都地方税機構」や「静岡地方税滞納整理機構」などの組織が43ある(平成28年7月現在)。また、徴収率(現年分)の向上のため、滞納者に対する電話による自主的納付の呼びかけ業務を民間事業者に委託する自治体も都道府県14団体、市町村171団体にのぼる。

 さらには、効率的・効果的な滞納整理の手法として、滞納者が所有する普通自動車・軽自動車・二輪車などに対する差押え(タイヤロック)措置を、都道府県37団体、市区町村244団体が実施し、滞納者の自主的納付を促している。そのほか、民間事業者のインターネットオークションを活用した公売を、都道府県37団体、市区町村565団体が導入して、滞納者から差し押さえた動産などを売ってお金を回収するケースも増えている。

提供元:21C・TFフォーラム

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 平成27年度に時効で消滅した地方税の滞納分は、前年度比25.4%減の393億円となり、11年度の統計開始以来、過去最低となったことが、総務省がまとめた27年度の地方税の不納欠損処理額で分かった。地方税は、納付期限の翌日から起算して5年で時効によって徴収権が消滅する。地方税の消滅時効分は初めて300億円台に減ったが、この背景には、景気回復での滞納の減少や、自治体による徴収対策の強化があるとみられている。 地方税の不納欠損処理額は、そのほか、「滞納処分の執行停止3年継続」に基づくものが前年度比14.3%減の442億円、「滞納処分の執行停止に係る即時償却」に基づくものが同9.5%減の431億円あった。地方税法では、滞納者に滞納処分できる財産がないときや滞納処分すると生活が著しく窮迫させる恐れがあるときなどは滞納処分の執行停止ができ、その執行停止が3年継続したときは、徴収権が消滅するとされている。 上記の結果、平成27年度における不納欠損処理額合計は、「地方税の消滅時効」に基づくものが393億円、「滞納処分の執行停止3年継続」が442億円、「滞納処分の執行停止に係る即時償却」が431億円の1266億円(前年度比16.7%減)となる。この不納欠損処理額の税収に対する割合は0.32%(前年度0.41%)となっている。 地方自治体では、歳入の確保が課題となるなか、徴収対策を強化。例えば、それぞれの自治体単独では徴収できなかった滞納分を、広域で連携して徴収事務を共同処理する「京都地方税機構」や「静岡地方税滞納整理機構」などの組織が43ある(平成28年7月現在)。また、徴収率(現年分)の向上のため、滞納者に対する電話による自主的納付の呼びかけ業務を民間事業者に委託する自治体も都道府県14団体、市町村171団体にのぼる。 さらには、効率的・効果的な滞納整理の手法として、滞納者が所有する普通自動車・軽自動車・二輪車などに対する差押え(タイヤロック)措置を、都道府県37団体、市区町村244団体が実施し、滞納者の自主的納付を促している。そのほか、民間事業者のインターネットオークションを活用した公売を、都道府県37団体、市区町村565団体が導入して、滞納者から差し押さえた動産などを売ってお金を回収するケースも増えている。
2017.05.08 10:45:38