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当初の申告書に雇用者給与等支給増加額の明細書の添付が必要

 雇用者給与等支給額が増加した場合の所得税額の特別控除(措法10の5の4④)の適用を巡って、当初の確定申告書に「雇用者給与等支給増加額」等を記載した明細書の添付が求められるか否かの判断が争われた事件で国税不服審判所は、当初の確定申告書に「雇用者給与等支給増加額」等を記載した明細書の添付が必要と判断、棄却した。

 この事件は、審査請求人が所得税等の確定申告の際に「雇用者給与等支給額が増加した場合の所得税額の特別控除」の適用漏れがあったとして更正の請求をしたところ、原処分庁が確定申告書に同特例の特別控除を適用するために必要な書類の添付がないことを理由に、更正をすべき理由がない旨の通知処分をしてきたため、請求人側がその全部取消しを求めて審査請求したという事案である。

 つまり請求人側は、措置法10条の5の4第4項後段が定める「当該確定申告書に添付された書類」には青色申告決算書など確定申告書に添付すべき書類が含まれると解すべきであり、特別控除の金額の計算の基礎となる雇用者給与等支給増加額は確定申告書に添付した書類等を基にも算出できるから、更正の請求において特別控除の適用を受けることができる旨主張したわけだ。

 しかし裁決は、控除を受けることができる金額は、「確定申告書に添付された書類に記載された雇用者給与等支給増加額を基礎として計算した金額」に限られると指摘。さらに同特例の規定の構造に鑑みれば、第4項後段が定める「当該確定申告書に添付された書類」とは、同項前段の「第1項の規定による控除の対象となる雇用者給与等支給増加額、控除を受ける金額及び当該金額の計算に関する明細を記載した書類」を指すと解するのが合理的とも指摘。

 しかし、添付書類には、「雇用者給与等支給増加額、控除を受ける金額及び当該金額の計算に関する明細」のいずれの記載もないのであるから、確定申告書の添付書類を基に雇用者給与等支給増加額を算出することができたとしても、特別控除の適用を受けることはできないと判断して、棄却した。

 (2016.04.07国税不服審判所裁決)

提供元:21C・TFフォーラム

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 雇用者給与等支給額が増加した場合の所得税額の特別控除(措法10の5の4④)の適用を巡って、当初の確定申告書に「雇用者給与等支給増加額」等を記載した明細書の添付が求められるか否かの判断が争われた事件で国税不服審判所は、当初の確定申告書に「雇用者給与等支給増加額」等を記載した明細書の添付が必要と判断、棄却した。 この事件は、審査請求人が所得税等の確定申告の際に「雇用者給与等支給額が増加した場合の所得税額の特別控除」の適用漏れがあったとして更正の請求をしたところ、原処分庁が確定申告書に同特例の特別控除を適用するために必要な書類の添付がないことを理由に、更正をすべき理由がない旨の通知処分をしてきたため、請求人側がその全部取消しを求めて審査請求したという事案である。 つまり請求人側は、措置法10条の5の4第4項後段が定める「当該確定申告書に添付された書類」には青色申告決算書など確定申告書に添付すべき書類が含まれると解すべきであり、特別控除の金額の計算の基礎となる雇用者給与等支給増加額は確定申告書に添付した書類等を基にも算出できるから、更正の請求において特別控除の適用を受けることができる旨主張したわけだ。 しかし裁決は、控除を受けることができる金額は、「確定申告書に添付された書類に記載された雇用者給与等支給増加額を基礎として計算した金額」に限られると指摘。さらに同特例の規定の構造に鑑みれば、第4項後段が定める「当該確定申告書に添付された書類」とは、同項前段の「第1項の規定による控除の対象となる雇用者給与等支給増加額、控除を受ける金額及び当該金額の計算に関する明細を記載した書類」を指すと解するのが合理的とも指摘。 しかし、添付書類には、「雇用者給与等支給増加額、控除を受ける金額及び当該金額の計算に関する明細」のいずれの記載もないのであるから、確定申告書の添付書類を基に雇用者給与等支給増加額を算出することができたとしても、特別控除の適用を受けることはできないと判断して、棄却した。 (2016.04.07国税不服審判所裁決)
2017.05.02 10:03:46