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固定資産税 タワマン高層階 4月から増税 1階ごとに0.26%変動

 2017年度税制改正の関連法が3月末に成立したことを受け、4月以降に購入したタワーマンション物件の固定資産税が見直されている。取得価格によっては年間の税負担が10万円以上変わることもあり得るため、しっかり内容を把握しておきたい。

 固定資産税が見直されたのは、①今年4月1日以降に売買契約を締結する新築物件、②マンションの高さが60メートルを超え、建築基準法上の「超高層建築物」に該当する物件――の両方に当てはまるタワーマンションだ。

 これまでは階数にかかわらず、建物全体の固定資産税額を区分所有の面積に応じて按分していたが、新たな計算方法では建物全体の税額は据え置いて、1階上がるごとに税負担が0・26%上がるように按分していく。ちょうど中間に当たる階では税負担はこれまでと変わらず、それより低層階では減税に、高層階では増税されることになる。仮に50階建てのマンションで部屋の面積が同じであれば、40階なら税額は1階より約10%、50階なら約13%高くなるわけだ。

 ポイントは、すでに住んでいる人には影響がないという点と、4月以降に契約する物件でも中古マンションであれば対象にならないという点だ。タワーマンションの高層階の購入を考えていて、固定資産税が気になるという人は、買うのが中古物件であれば負担増を免れることができる。
今回の見直しの理由について、政府は資産価値と税負担の差のギャップを埋めることだと説明している。眺望などの条件に優れる高層階は低層階と数千万円の価格差が生じることも珍しくないが、これまでは固定資産税に階層の概念がなかったため、両者の固定資産税負担が同額となっていたという。だが政府がタワマン高層階を狙い撃ちにする理由はもうひとつあり、それが相続税の「タワマン節税」の阻止だ。

 相続発生前にタワマン高層階を購入しておき、低い評価額で相続税を納めたあと高額で転売して現金を得るという「タワマン節税」は、近年富裕層のあいだで最もポピュラーな節税手段として認識されてきた。国税庁が公表したデータによれば、300件を超えるタワーマンション物件の平均的な財産評価額は、実売価格の3割程度だったというから、その効果は言わずもがなだ。

 今回の改正は、あくまで固定資産税の按分ルールの見直しでタワマン節税への影響はほぼないが、将来的な相続税評価ルールの見直しという〝本丸〟へ攻め込むための下地作りだというのが大方の見方だ。タワマン節税自体の賞味期限は、もってあと数年の可能性がある。

 さらに法律面からの規制を待つまでもなく、税務当局が執行面からの取り締まりを強化していることにも注意したい。実売価格との大きな開きがあるケースに対して、国税庁は財産評価基本通達第6項の「通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる財産の価額は、国税庁長官の指示を受けて評価する」という規定を使って厳しく取り締まっていく構えを示している。タワマン節税を考えている人は、現在の否認リスクと将来の法規制を考慮し、活用を検討すべきだろう。

提供元:エヌピー通信社

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 2017年度税制改正の関連法が3月末に成立したことを受け、4月以降に購入したタワーマンション物件の固定資産税が見直されている。取得価格によっては年間の税負担が10万円以上変わることもあり得るため、しっかり内容を把握しておきたい。 固定資産税が見直されたのは、①今年4月1日以降に売買契約を締結する新築物件、②マンションの高さが60メートルを超え、建築基準法上の「超高層建築物」に該当する物件――の両方に当てはまるタワーマンションだ。 これまでは階数にかかわらず、建物全体の固定資産税額を区分所有の面積に応じて按分していたが、新たな計算方法では建物全体の税額は据え置いて、1階上がるごとに税負担が0・26%上がるように按分していく。ちょうど中間に当たる階では税負担はこれまでと変わらず、それより低層階では減税に、高層階では増税されることになる。仮に50階建てのマンションで部屋の面積が同じであれば、40階なら税額は1階より約10%、50階なら約13%高くなるわけだ。 ポイントは、すでに住んでいる人には影響がないという点と、4月以降に契約する物件でも中古マンションであれば対象にならないという点だ。タワーマンションの高層階の購入を考えていて、固定資産税が気になるという人は、買うのが中古物件であれば負担増を免れることができる。今回の見直しの理由について、政府は資産価値と税負担の差のギャップを埋めることだと説明している。眺望などの条件に優れる高層階は低層階と数千万円の価格差が生じることも珍しくないが、これまでは固定資産税に階層の概念がなかったため、両者の固定資産税負担が同額となっていたという。だが政府がタワマン高層階を狙い撃ちにする理由はもうひとつあり、それが相続税の「タワマン節税」の阻止だ。 相続発生前にタワマン高層階を購入しておき、低い評価額で相続税を納めたあと高額で転売して現金を得るという「タワマン節税」は、近年富裕層のあいだで最もポピュラーな節税手段として認識されてきた。国税庁が公表したデータによれば、300件を超えるタワーマンション物件の平均的な財産評価額は、実売価格の3割程度だったというから、その効果は言わずもがなだ。 今回の改正は、あくまで固定資産税の按分ルールの見直しでタワマン節税への影響はほぼないが、将来的な相続税評価ルールの見直しという〝本丸〟へ攻め込むための下地作りだというのが大方の見方だ。タワマン節税自体の賞味期限は、もってあと数年の可能性がある。 さらに法律面からの規制を待つまでもなく、税務当局が執行面からの取り締まりを強化していることにも注意したい。実売価格との大きな開きがあるケースに対して、国税庁は財産評価基本通達第6項の「通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる財産の価額は、国税庁長官の指示を受けて評価する」という規定を使って厳しく取り締まっていく構えを示している。タワマン節税を考えている人は、現在の否認リスクと将来の法規制を考慮し、活用を検討すべきだろう。
2017.04.17 17:35:20