2013年「ものづくり白書」
カテゴリ:03.ニュースアンテナ 
作成日:08/19/2013  提供元:税務研究会・税研情報センター



 我が国「ものづくり産業」の復活が日本経済再生の源です。


●「ものづくり産業」の現状


 かつて「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と言われ、1960年代から80年代にかけて、日本のものづくり企業は画期的な新製品を次々と開発し、抜群の競争力を有していました。今でも「ものづくり産業」である製造業は、国内雇用や貿易立国日本を支える基幹産業であることに変わりはありません。


 


 しかし、1990年代以降、新興国企業の躍進や長く続いた円高、激しい価格競争によってものづくり産業を取り巻く環境が大きく変わりました。これらの環境変化によってエレクトロニクス(電気機器)産業を中心に輸出力は低下し、2012年の貿易収支は原油等の輸入増加が背景にあるものの過去最大の6.9兆円の赤字を記録しました。

 また、自動車産業を中心に海外生産が拡大しており、日本の強みである裾野の広い産業集積と広範なサプライチェーンが毀損してしまうとの懸念があります。さらに企業の海外展開の目的は多様化しており、研究開発・製品企画などのコア機能も海外移管の動きがあります。海外利益の国内還流は国内での雇用や設備投資を維持する上で重要であり、企業の海外展開には今後も注視することが必要でしょう。


●課題と今後の展望

 日本経済の再生のためには、高い競争力を持つ「ものづくり産業」の復活は不可欠です。白書では、競争力低下の要因として次の4つの観点からものづくり産業が抱える課題を明らかにしています。


1)

企業の競争力を最大限に引き出す「立地環境の整備」
高コスト構造の是正や規制の見直し等によって、企業の立地環境の大幅改善をすることが必要
 

2)

企業に内在する競争力の源泉である「技術・設備の維持・強化」
研究開発投資や設備投資を促す環境が必要であり、優れた技術がビジネスにつながるような規制の合理化や整備が重要
 

3)

企業が自らの競争力を発揮する「ビジネスモデルの変革」
「グローバルメジャー」企業をめざし、「グローバルニッチトップ」企業を創出・育成することが重要
 

4)

非効率な経営資源を有効活用し競争力を高める「新陳代謝の促進」
中小企業による連携を促すような環境整備などが必要
 

 日本のものづくり産業は転換点に直面しています。しかし3D(3次元)プリンターの分野では、すでに日本の総合力、応用力が光る製品が登場し、日本の「ものづくり産業」の今後に大いに期待が持てるでしょう。

【ニュースアンテナ8月号 税研情報センター】