2014年度企業の採用動向
カテゴリ:03.ニュースアンテナ 
作成日:04/16/2013  提供元:税務研究会・税研情報センター



 新卒採用は緩やかな回復基調であるものの、就職戦線は依然として厳しい予想です。

●2014年新卒の採用見通し


 リクルートワークス研究所の「ワークス採用見通し調査(2012年12月)」によると、2014年卒の新卒採用見通しは、「増える」(10.3%)が「減る」(6.9%)をわずかに上回っており(+3.4%)、大学生・大学院生の新卒採用は多少回復する見込みです。ただし、「わからない」が2013年卒の25.1%より微増の25.8%となっており、新卒採用市場は今後の景気動向に左右される可能性があります。


 

 従業員規模別の見通しを見ると、どの従業員規模においても「増える」が「減る」を上回っていますが、増える割合が比較的に大きいのは、従業員2,000~4,999人企業(+8.2%)や従業員5,000人以上企業(+7.9%)などの大企業で、大企業ほど採用に意欲的であるという結果となりました。

 業種別で見ると、「増える-減る」のポイントは、製造業でマイナスですが、その他の建設業、流通業、サービス・情報業ではプラスという結果です。中でも飲食サービス業では3割近い企業(27.9%)が「増える」と回答しており、雇用が比較的堅調なのはいわゆる内需系業種、特に飲食サービス業や小売業で、これらの業種が雇用を下支えする形となっています。


●企業の採用活動の動向

 経団連が2011年3月に倫理憲章を大幅に見直し、採用広報活動を2ヵ月後ろ倒しにしたため、企業は効率を重視して大規模な採用イベントへの参加を控え、特定の大学での説明会や自社での説明会を増やす傾向にあります。株式会社ディスコ キャリアリサーチの「採用活動に関する企業調査(2012年12月調査)」によると、2014年度の採用活動において52.8%の企業が「学内セミナーへの参加を増やす」、42.1%の企業が「自社セミナーの開催数を増やす」としており、学生をまず集めて母集団を形成し、求める人材を厳選採用しようとする姿勢がうかがえます。また、近年話題となっているSNSを採用活動に使用するとしている企業は約14%となっています。

 リーマンショック以後冷え込みが続いた新卒マーケットは2011年度採用を底に好転し、2014年度も企業の採用意欲は引き続き堅調と言えるでしょう。

 企業の採用活動は増加傾向であるものの、企業を取り巻く環境は依然厳しいものがあり、企業の採用は緩やかな水準での回復となりそうです。一方、学生の側は、再び大手志向が強まりつつあるようで、新卒採用に慎重な姿勢の大企業との間で採用のミスマッチが深まる可能性があります。

【ニュースアンテナ4月号 税研情報センター】