「民泊サービス」のあり方
カテゴリ:03.ニュースアンテナ 
作成日:05/16/2016  提供元:税務研究会・税研情報センター



 日本でも広がる「民泊サービス」について、広く検討が行われています。

●「民泊サービス」と各種法令規制

 「民泊サービス」とは、一般には自宅の一部や空き別荘、マンションの空き室などを活用して宿泊サービスを提供するものをいいます。ここ数年、アメリカに本社を置くAirbnb(エアビーアンドビー)社が、空き室を短期で貸したい人と旅行者をインターネットで仲介するビジネスを世界各国で展開しており、同社によると日本でも約2万1千件の登録物件があり、急速に普及しています。

 こうした「民泊サービス」については、急増する訪日観光客のニーズや大都市部での宿泊需給の逼迫状況への対応といった観光立国推進の観点、地方の人口減少や都市の空洞化により増加している空き家の有効活用といった地域活性化の観点から活用を図ることが求められていますが、一方で感染症まん延防止やテロ防止などの適正な管理、安全性の確保や地域住民等とのトラブル防止に留意したルールづくりが求められています。

 「民泊サービス」を反復継続して有償で行う場合、日本においては「旅館業法」の許可が必要ですが、許可を得ずに実施される違法な「民泊サービス」が広がっているのが現状です。また、「民泊サービス」が旅館業法に基づく「旅館業」に該当する場合、「民泊サービス」を仲介する事業は「旅行業」に該当し、その場合、仲介事業者は旅行業法に基づく登録を受ける必要があります。さらに、民泊部分の規模に応じて、消防用設備等の設置が必要となる場合があります。

●今後の検討課題

 「民泊サービス」の広がりを受けて、平成27年6月30日に閣議決定された「規制改革実施計画」において、旅館・ホテルとの競争条件を含め、幅広い観点から検討し結論を得ることとされました(平成27年検討開始、平成28年結論)。平成28年3月には「民泊サービス」のあり方に関する検討会で「中間整理」が取りまとめられ、公表されています。

 早急に取り組むべき課題として、旅館業法の許可を得ていない違法な「民泊サービス」への対応が検討されました。この中で、簡易宿所の枠組みを活用した旅館業法の許可取得を促進するべきとして、簡易宿所の客室の面積基準(延床面積33m以上)が見直され、収容定員10人未満の場合の面積基準が3.3m×宿泊者数以上に改正されました(平成28年4月1日施行)。

 中期的な検討課題として、旅館業法上求められてきた許可取得をはじめとする義務の内容を一律に課すべきかや仲介事業者や管理事業者等への義務等について、検討が行われています。

参考資料:厚生労働省HP