日本のインフラシステム輸出戦略
カテゴリ:03.ニュースアンテナ 
作成日:12/15/2016  提供元:税務研究会・税研情報センター



 世界のインフラ需要が拡大する中、日本のインフラシステム輸出の支援策が始まっています。

●インフラ輸出の状況

 世界中に広がる新興国の急激な都市化や経済発展により、世界のインフラ需要は急伸しています。日本は、成長戦略の一貫として積極的にこれを取り込み、日本の経済成長につなげていく必要があります。

 インフラシステム輸出は、受注企業の直接的な利益のみならず、日本企業の進出拠点整備やサプライチェーン強化など複合的な波及効果を生み出します。また、日本の先進的な技術・ノウハウ・制度等の移転を通じて、環境、防災等地球規模の課題解決に貢献し、日本の外交的地位向上にも貢献します。

 しかしながら、各国のインフラ輸出の推移を示した「海外プラント・エンジニアリング成約実績」によると、日本は2005~2013年にかけてほぼ横ばいで、受注実績において欧米や中国・韓国等の競合企業に大きく水をあけられている現状にあります。国もこうした状況を打開するべく、2013年には内閣官房長官が議長を務める閣僚級の会合「経協インフラ戦略会議」を立ち上げ、その中で2020年の受注目標を約30兆円(2010年は10兆円受注)に設定し、目標を達成するための支援策を次々と打ち出すこととなりました。

●サポート体制

 日本のインフラ輸出拡大に向けた「経協インフラ戦略会議」がとりまとめる具体的施策として、①企業のグローバル競争力強化に向けた官民連携の推進、②インフラ海外展開の担い手となる企業・地方自治体や人材の発掘・育成支援、③省エネインフラやICT、次世代自動車など先進的な技術・知見等を活かした国際標準の獲得、④日本の医療技術と医療機器等の国際展開や農業インフラシステム等の海外展開など、新たなフロンティ
アとなるインフラ分野への進出支援、⑤エネルギー鉱物資源の海外からの安定的かつ安価な供給確保の推進、の5つがあります。これらの支援制度には大きく「リスクマネー」「制度改革」「人材育成」という3つの観点があります。

 「リスクマネー」では、JICA(国際協力機構)、JBIC(国際協力銀行)等の関係機関を通じ、今後5年間で総額約2,000億ドルを供給し、利用エリアはアジアから全世界に、対象は資源エネルギーなどを含む広義のインフラ案件にそれぞれ拡大されます。また、「制度改革」では、ドル建て借款、金利が優遇されるハイスペック借款が創設され、カントリーリスクのカバー率はすべて100%にまで拡大しています。さらに「人材育成」として発注者と労働者双方の人材育成の支援が行われます。   

参考資料:経済産業省HP、内閣府HP