中小企業向けファンドの活用
カテゴリ:03.ニュースアンテナ 
作成日:01/11/2013  提供元:税務研究会・税研情報センター



 資金調達の手段として、中小企業向けファンドが注目されています。


●ファンドの仕組み

 ファンドとは「資金の集まり」=「基金」の意味で、さまざまな資金提供者から集めた資金を活用して、運用者である投資会社等が投資を行っていく仕組みです。




 企業が調達する資金を大まかに分類すると、「補助金や助成金」、「融資」、「出資」の3種類に分けられます。ファンドからの資金調達は、このうちの「出資」に該当します。融資を受ける場合には、一定の期日内に元本の返済と利息の支払い義務が生じますが、ファンドやVC(ベンチャーキャピタル)から出資を受ける場合には、融資のように元本や利息の返済義務、担保などは求められません。ファンドやVCは、取得した株式を将来的に売却することにより資金を回収するため、事業の成長性に加えて企業自身の成長性が重視されます。
 

 ファンドやVCといった外部の投資家が株主になることにより、企業は自らの成長性を約束しなければならないという点で、資金を得るためのハードルは高くなりますが、補助金・助成金のように使途が限定されておらず、融資のように事業実績を要求するものではないので、業歴が浅く担保もないような企業には重要な資金調達手段の一つとなるでしょう。


●ファンドの活用事例

 中小企業の場合、企業の担保や個人保証による銀行からの融資だけでは資金調達の手法に限りがあるとして、国は流動資産担保融資やファンドを通じた資金供給など、調達手段を広げる事業を推進しています。中でも、独立行政法人中小企業基盤整備機構が出資するファンド出資事業には、出資・支援対象とする企業のステージや特徴に応じて、「起業支援ファンド」、「中小企業成長支援ファンド」、「中小企業再生ファンド」が用意されています。

 平成23年度末のファンド実績は、ファンド数155ファンド、ファンド総額約3,642億円(うち中小機構分約1,508億円)という規模となっており、また、中小機構のファンドから投資を受けて新規に株式公開を果たした企業数は11社で新興市場全体の35%超となっています。

 さらに、3月末の金融円滑化法終了を控え、中小企業再生ファンドの活用が民間金融機関も含め加速しており、本業は順調であるものの過去の過剰債務に苦しむ企業を支援するファンドとして期待されています。他にもインターネットを利用した「クラウドファンディング」という資金調達方法も普及し始め、様々な選択肢の中から自社に合う資金調達の方法を検討することで事業展開の幅が広がることでしょう。

【ニュースアンテナ1月号 税研情報センター】