ポジティブ・オフ運動の取り組み
カテゴリ:03.ニュースアンテナ 
作成日:05/15/2012  提供元:税務研究会・税研情報センター



 節電と地域経済活性化の両立をめざした運動です。2011年夏から提唱・推進しています。


●ポジティブ・オフ運動の背景




 2011年夏からポジティブ・オフ運動が推奨された背景には、東日本大震災の影響による電力需給対策の必要性がありました。社会全体が電力使用削減を求められる中、企業部門においても様々な節電策がとられていますが、その一つとして、休業・休暇の長期化・分散化、家庭部門においての旅行などの外出が、確実な効果をもたらす節電策として推奨されたことによります。資源エネルギー庁の試算では、外出すると在宅時のピーク時電力の約7割が削減できるとの結果も後押ししています。

 一方で地域経済に目を向けると、東日本大震災の直接的被害のほかに、風評被害や自粛等により、被災地はもとより、全国各地の観光関連産業は大きなダメージを受け、地域経済の活性化に大きな影響を与えています。こうした背景から、節電のための取り組みと、外出や旅行の実施促進による地域経済活性化の両立を目指し、ポジティブ・オフ運動が観光庁、内閣府、厚生労働省、経済産業省によって提唱されました。

 ポジティブ・オフ運動は、その趣旨に賛同する企業・団体によって実施されていますが、賛同する企業団体数は平成24年5月1日時点で180社・団体を超える規模となりました。


●今後の取り組み

 ポジティブ・オフ運動とは、休暇を取得して外出や旅行を楽しむことを積極的に促進し、休暇(オフ)を前向き(ポジティブ)にとらえて楽しもうという運動です。休暇を取得しやすい環境を整え、外出・旅行を通じた経済活性化に貢献することを目指すものですが、長期的には休暇を楽しむライフスタイルやワーク・ライフ・バランスの実現といった変革につなげていくのが目的です。

 厚生労働省が発表した平成23年就労条件総合調査によると平成22年(1年間)の有給休暇取得率は48.1%と欧米諸国に比べ低くなっています(フランス、ドイツ、イギリスは取得率ほぼ100%、アメリカは70~80%)。有給休暇取得の目的として最も多いのは病気や通院の時となっており、家族と過ごす時間や趣味や旅行のため、自分磨きのためといった自分自身のライフスタイルのためでの取得はまだ低いのが現状です。

 ポジティブ・オフ運動への賛同企業の中で実際に行われている取組を挙げると、旅費補助の拡大、メールやイントラネットを活用した旅行実施の啓発等があります。休暇の取得には従業員や職場単位での意識改革が必要ですが、休暇を取りやすい・取らせやすい環境を整えていくことが重要でしょう。

【ニュースアンテナ5月号 税研情報センター】