会社法の改正について
カテゴリ:03.ニュースアンテナ 
作成日:04/13/2015  提供元:税務研究会・税研情報センター



 中小企業にも影響がある改正会社法が5月1日より施行されます。


●中小企業に関係する改正ポイント




 会社法の一部を改正する法律及び関係法律の整備等に関する法律が平成26年6月20日に成立し、平成27年5月1日に施行されます。主なポイントは下記のとおりです。

(1)多重代表訴訟制度の創設

 従来の株主代表訴訟に加え、新たに、親会社の株主が、一定の要件の下で、子会社の役員等の責任を追及する制度(多重代表訴訟制度)が創設されます。多重代表訴訟の要件は、「親会社が100%株式を所有する子会社の場合」で、「その親会社が保有する子会社の株式の帳簿価額が親会社の総資産の5分の1を超えること」とされています。
 

 また、訴訟提起できる株主は、「親会社等の総会社の議決権または発行済株式の1%以上を所有」し、「6ヵ月以上継続して保有」している場合に限られます。

(2)社外役員要件の厳格化

 社外役員の独立性を強化するための措置として、社外取締役、社外監査役の資格が見直されます。改正前は、当該取締役が、現在もしくはその会社または子会社の業務執行取締役・執行役・使用人となったことがないこと、当該監査役が、過去に、その会社または子会社の取締役・会計参与・執行役・使用人となったことがないこと(過去の部分については、今回の改正で緩和され「就任前10年間」に限定)とされていました。今回の改正では、社外性の要件として、親会社等の一定の関係者、親会社等の子会社等の一定の関係者、取締役等の一定の親族でないこと、が追加されます。


●その他留意すべき改正ポイント

(1)監査範囲限定登記

 定款で監査役の監査範囲に業務監査を含まず会計監査のみに限定する会社につき、現在既に会計監査に限定している会社を含め、新たに監査範囲限定の登記をすることが必要になりました。当該登記は、改正会社法の施行後、最初に監査役が就任(重任を含む)する際に行う必要があります。定款に「株式譲渡を制限する」旨の規定を置いている会社は、該当する可能性が高いため、登記の際に確認が必要でしょう。

(2)キャッシュアウト法制の整備

 総株主の議決権の90%以上の議決権を有する株主(特別支配株主)による株式売渡請求(キャッシュアウト)の制度が新設されました。既に発行されている株式が、少数株主から大株主に直接移転する制度ですので、会社が株式を取得する必要はありませんが、売渡しを請求された少数株主で不満がある場合には、裁判所に対して価格決定の申立てを行うことができます。

【ニュースアンテナ4月号 税研情報センター】