日本が誇る老舗企業
カテゴリ:03.ニュースアンテナ 
作成日:10/11/2012  提供元:税務研究会・税研情報センター



 いくつもの危機を乗り越えてきた老舗企業の底力は時代を超えて現代の経営にも息づいています。


●日本の老舗企業




 日本は世界一の長寿国ですが、世界でも群を抜く「老舗企業大国」でもあります。2012年8月に公開された東京商工リサーチの調査結果によると、全国で創業100年超の老舗企業は27,441社あることがわかりました。

 最も創業が古かったのは、社寺建築の(株)金剛組(大阪府)で、飛鳥時代の578年創業の法人です。次いで、いけばなの(財)池坊華道会(京都府)が587年創業、3位は武田信玄や徳川家康も訪れたと伝えられる(有)西山温泉慶雲館(山梨県)が705年の創業で、この3社は世界最古の企業トップ3でもあります。


 業歴別では、「100年以上200年未満」が全体の90.8で24,924社と最も多く、業歴1,000年以上を誇る老舗企業は7社で旅館、建築工事、鐘・農機具鋳物製造、宗教用具製造などが占めています。産業別では、製造業(26.5%)、卸売業(23.5%)、小売業(23.3%)の3産業で約7割を占めています。

 業種別では清酒製造業がトップで763社、以下旅館・ホテル、呉服・服地卸売業と続きます。売上高別でいうと5億円未満の企業が約7割を占め、従業員数別でも10人未満の企業が過半数を占めるというように、創業100年超の日本企業の多くは中小・零細企業です。

 興味深いのは、老舗企業には情報技術やバイオテクノロジーなどの先端技術分野で活躍する企業も少なくなく、さらに東証など国内証券取引所に上場する老舗企業が469社と国内上場企業の13.1%を占めており、歴史の力強さを感じます。


●老舗企業の共通性

 100年以上にわたり事業を継続し続けた企業には何らかの共通性があると思われます。帝国データバンクが2012年に老舗企業への事業継続要因を問うたアンケート結果によると、「お客様第一」「堅実」「信用・信頼」「社員育成」「技術力」「時代の変化に対応」「本業を着実にやってきた・守ってきた」と、どの時代、どの企業にも通ずる結果となっています。

 東京商工会議所は老舗企業に対して2011年11月に実施した調査に基づき、老舗企業の強さの源泉は、「のれんを創る」「商いをつくる」「人を育てる」「関係性をつくる」「地縁・地域性を活かす」であるとリポートしています。

 老舗企業は長い年月の間に戦災や自然災害、経済危機など幾たびもの危機を乗り越えてきました。その原動力は経営者の強い「信念」、長年培われた「信用」、「柔軟な経営感覚」であるでしょう。

【ニュースアンテナ10月号 税研情報センター】