勤労者短観調査結果
カテゴリ:03.ニュースアンテナ 
作成日:04/15/2016  提供元:税務研究会・税研情報センター



2015年10月に実施された勤労者の意識調査が公表されています。

●生活と仕事に関する意識

 連合総研より昨年10月に実施した「勤労者の仕事と暮らしについてのアンケート(勤労者短観)」の結果概要が公表されています。この調査は連合総研が毎年4月と10月に定期的に実施しているもので、勤労者の仕事と暮らしに関する意識変化をとらえるための調査です。昨年実施された調査では、隔回で実施している「労働時間についての意識と実態」のほか、さらにトピック調査として「最近の賃金動向と消費意欲」などといったテーマも調査が行われました。

 景気、物価に対する意識では、1年前と比べて景気が悪化したとの認識が強まり、一方で物価が上昇したとの認識はわずかに下落しています。また、1年前と比べて、勤め先の経営状況が悪化したとの見方が続いており、今後1年くらいの間に自身が失業する不安を感じる割合は全体で29.3%と、毎年下落が続いているものの、依然として3割近い割合です。

 1年前と比べた自身の賃金収入の増減について、「増えた」とする割合(27.3%)が「減った」とする割合(23.2%)を引き続き上回り、全体的に賃金改善がみられるものの、非正社員、小規模な労働組合なしの企業はマイナスという結果です。また、1年前と比べて暮らし向きが悪くなったととらえる傾向が、依然として強いという厳しい結果となりました。

●労働時間についての意識と実態

 今回の調査で、昨年9月に所定外労働(残業および休日出勤)を行ったとする割合は37.1%であり、平均所定外労働時間は38.4時間でした。とくに男性正社員は、51.9%が所定外労働を行い、所定外労働時間の平均は44.4時間に及んでいます。男性正社員の9.2%、女性正社員の5.3%が、所定外労働時間「80時間以上」としており、長時間労働が多くみられます。

 所定外労働を行った3人に1人は賃金不払い残業があり、不払い残業時間の平均は18.1時間に達しています。特に20代では、男女ともに4割を超える割合に賃金不払い残業がありました。

 過去6か月間に長時間労働で体調を崩した経験があるかどうかについては、15.2%が「体調を崩した経験がある」と回答しています。とくに、上司の管理不足を感じている人ではその割合が強く、2割超が「体調を崩した経験がある」と回答しています。なお、1週間の平均実労働時間が「50時間以上60時間未満」の層では25.5%、「60時間以上」の層では、26.7%が体調を崩したことがあると回答しており、長時間労働者の健康問題は依然として深刻という結果となりました。