著作権法の改正
カテゴリ:03.ニュースアンテナ 
作成日:11/12/2012  提供元:税務研究会・税研情報センター



 著作権法の一部を改正する法律が平成25年1月1日までにすべて施行されます。

●改正の内容




 デジタル化・ネットワーク化の進展に伴い、著作物の違法利用等が常態化している中、「著作権法の一部を改正する法律」が平成24年6月20日に成立し、平成25年1月1日に施行されます(下記(3)、(4)、(5)については平成24年10月1日施行済)。今回の改正では、著作物の利用の円滑化・保護強化を図るために次のような規定の整備がされました。
 

(1)いわゆる「写り込み」(付随対象著作物としての利用)に係る規定の整備

 著作権者の利益を不当に害しない範囲で、著作権者の許諾無く著作物を利用できる場合を、ある程度包括的に定めた規定が設けられました。たとえば、写真の中にキャラクターなどの著作物が偶然含まれてしまう「写り込み」は著作権の侵害には当たりません。

(2)国立国会図書館による図書館資料の自動公衆送信に係る規定の整備

(3)公文書等の管理に関する法律等に基づく利用に係る規定の整備

(4)著作権等の技術的保護手段に係る規定の整備

 改正前も、不正なコピーを防ぐ技術(技術的保護手段)を回避してコンテンツをコピーすると、私的複製であっても違法でしたが、今回の改正で市販DVDなどに施されたアクセスコントロール技術(CSS等)を回避して複製(コピー)した場合にも違法となります。ただし、罰則規定はありません。なお、今回の改正でアクセスガードを回避するソフトウエアを配布する行為も著作権法上違法となり、3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金、またはその両方が科されることになります。

(5)違法ダウンロード刑事罰化に係る規定の整備

 違法に配信されていると知りながら音楽や映像をダウンロードする行為はすでに違法とされていましたが、刑事上の罰則規定はありませんでした。今回の改正で、2年以下の懲役または200万円以下の罰金またはその両方が科されることになります。


●今後の課題

 今回の改正で違法配信と知りながらインターネットのサイトから音楽や動画をパソコンやスマートフォンにダウンロードした場合、刑事罰が適用されることとなりました。しかし、違法にインターネットに投稿されたかどうかが利用者にわかりづらく、さらに、利用者側でダウンロードする必要のないクラウドコンピューティングに対応していないという課題が残されており、今後さらに検討する必要があるでしょう。

【ニュースアンテナ11月号 税研情報センター】