労働者派遣法の改正
カテゴリ:03.ニュースアンテナ 
作成日:09/11/2012  提供元:税務研究会・税研情報センター



 派遣労働者の保護・雇用の安定を目的とした改正労働者派遣法が10月1日から施行されます。


●改正の内容

 この改正は、いわゆる「派遣切り」の防止や派遣労働者の待遇改善を目的にしたもので、法律の名称に「派遣労働者の保護」が明記され、目的規定にも「派遣労働者の保護・雇用の安定」が明記されました。主な改正の内容は、以下の3つです。

(1)事業規制の強化


 日雇派遣(日々又は30日以内の期間を定めて雇用する労働者派遣)が原則禁止(適正な雇用管理に支障を及ぼすおそれがないと認められる業務の場合、雇用機会の確保が特に困難な場合等は例外)になります。また、派遣元事業主が一の事業年度中にグループ企業など省令で定める関係派遣先への派遣をする場合は8割以下に規制され、さらに派遣先は、自社を離職した労働者を離職後1年以内に派遣労働者として受け入れることが原則禁止となります。



(2)派遣労働者の無期雇用化や待遇の改善

 派遣元事業主に対して、派遣料金と派遣労働者の賃金の差額の派遣料金に占める割合(マージン率)などの情報公開が義務化されました。また、雇入れの際には派遣労働者に対して1人当たりの派遣料金の額を明示し、派遣労働者の賃金決定の際には、同種の業務に従事する派遣先の労働者との均衡を考慮しなければなりません。さらに、労働者派遣契約の解除の際には、1)派遣労働者の新たな就業機会の確保、2)休業手当等の支払に要する費用負担の措置、が義務化されました。

(3)違法派遣に対する迅速・的確な対処

 違法派遣の場合、派遣先が違法であることを知りながら派遣労働者を受け入れている場合には、派遣先が派遣労働者に対して労働契約を申し込んだものとみなされる制度が設けられました。この制度により、労働契約の申込みをしたものとみなされた派遣先は、違反行為を終了した日から1年間は申込みを撤回することができません。この制度は平成27年10月1日から施行されます。また、処分逃れを防止するため、労働者派遣事業の許可等の欠格事由が整備されました。


●今後の動向

 登録型派遣、製造業務派遣及び特定労働者派遣事業の在り方については、この法律施行後1年経過後をめどとして今後議論することとされました。また、労働契約申込みみなし規定が適用される「偽装する意図を持っているケース」の明確化、「労働者派遣」と「請負」の区分基準の明確化等が附帯決議に盛り込まれました。これら改正事項、検討事項を踏まえた上で、企業も対応策を検討する必要があるでしょう。

【ニュースアンテナ9月号 税研情報センター】