クール・ジャパン戦略
カテゴリ:03.ニュースアンテナ 
作成日:12/13/2012  提供元:税務研究会・税研情報センター



 ポケモン、初音ミク、東京ガールズコレクションに続くクール・ジャパンが日本再浮上の鍵です。


●クール・ジャパンの成功事例

 クール・ジャパンという言葉が誕生して今年で11年目になりました。欧米やアジアでは、アニメやマンガに加え、食文化、宅配便、旅館、伝統工芸品など、「クール・ジャパン(かっこいい日本)」と人気の高い日本の商品やサービスが多数存在します。中でも世界が共感するクール・ジャパンを支えているのは、ファッション、映画、ゲーム、音楽といったクリエイティブ産業と言われるものです。クリエイティブ産業で最も成功を収めた事例は、6年前に誕生した「初音ミク」で、ニコニコ動画にアップされるや世界を席巻し、その経済波及効果は計り知れません。


 そのほかにも、宅急便をアジア展開するヤマト運輸が時間指定やクール便など、日本流のきめ細かいサービスが海外で高評価を受け、熊野(広島)の化粧筆はハリウッドでも愛好者が多く、石川県の旅館「加賀屋」は日本の「おもてなしの心」で台北に出店しています。また、東京ガールズコレクションは世界でもあまり類を見ない大規模なファッションショーに成長しました。


 

●海外展開に向けた戦略

 アジア新興国の急速な追い上げで、自動車や家電などに代表される工業製品は激しいコスト競争にさらされています。一方、アジア各国の富裕層や中間層は「エンターテインメント」「ファッション」「食」などを価値と考え始めており、クール・ジャパンへの評価が高まっています。また、フランスのJapanExpoやイギリスのHYPERJAPANなど、世界各地で日本の文化を紹介するイベントが行われ、グリーや吉本興業といった有力なエンタ企業も積極的に海外に展開しています。

 こうした現状を踏まえて、経済産業省では2010年6月に「クール・ジャパン室」を設置し、ブランド戦略や販路開拓などを一貫して支援する政策を始め、特にアジア市場への拡大を図っています。平成23年度に実施されたクール・ジャパン海外展開プロジェクトにおいては、ファッションや食、住まいといった各分野の商品を束ねて展開するという目標はおおむね達成されたものの、「大きく稼ぐ」といったところまではいかないという課題が残りました。

 今後は他業種とのコラボレーション、地域資源等の発掘や連携、商業施設・流通企業との連携によるビジネス拠点の確保、商流の効率化などによって戦略的に海外展開を行えば、「人気」を「付加価値」に転換し、収益源にできる可能性は非常に高いでしょう。官民一体となったオールジャパンの取組がクール・ジャパンをさらに推進するものと期待されています。

【ニュースアンテナ12月号 税研情報センター】