高年齢者雇用安定法の改正
カテゴリ:03.ニュースアンテナ 
作成日:03/12/2013  提供元:税務研究会・税研情報センター



 高年齢者の就労促進の一環として、高年齢者雇用安定法が改正されました。


●年金の2013年問題




 年金制度改革により、厚生年金の支給開始年齢が段階的に引き上げられ、定額部分の老齢基礎年金は65歳からの支給、報酬比例部分の老齢厚生年金については、2013年4月から3年ごとに1歳ずつ引き上げられ、2025年度以降は原則65歳からの支給となります(いずれも男性の場合)。この段階的引上げによって、2013年度以降は、60歳で定年退職した後に継続雇用されなければ、年金支給開始まで、年金も賃金もない無収入の期間が生じる可能性があります。これがいわゆる「年金の2013年問題」と言われているものです。
 

 このため、年金支給と雇用の接続の観点から、希望者全員が継続雇用制度の対象となるよう、高年齢者雇用安定法を改正する法律が平成24年8月29日に成立しました。施行は平成25年4月1日からとなります。


●改正のポイント

 今回の改正の主なポイントは以下の4つです。


1.

継続雇用制度の対象者を限定できる仕組みの廃止
改正前法律では、65歳未満の定年を定めている事業主に対して、65歳までの雇用を確保するため、1)定年の引上げ、2)継続雇用制度の導入(労使協定により基準を定めた場合は、希望者全員を対象としない制度も可)、3)定年の定めの廃止、のいずれかの措置の実施がすでに義務化されていました。今回の改正で、2)の労使協定により定める基準の例外規定が廃止され、今後は高年齢者たる従業員が継続雇用を希望した場合には、原則として全員を継続雇用しなければならないこととなりました。
 

2.

継続雇用制度の対象者を雇用する企業の範囲の拡大
継続雇用制度の対象となる高年齢者が雇用される企業の範囲がグループ企業にまで拡大されました。
 

3.

義務違反の企業に対する公表規定の導入
 

4.

高年齢者雇用確保措置の実施及び運用に関する指針の策定
今回の改正では12年間の経過措置が設けられ、平成25年3月31日までに、法令に基づく継続雇用制度の対象者を限定する基準を定めていた事業主については、老齢厚生年金(報酬比例部分)の支給開始年齢以上の者を対象に、その基準が引き続き利用できます。
 

 なお、女性の老齢厚生年金の支給開始年齢の引上げについては、男性と比べて5年遅れのスケジュールとなりますが、継続雇用制度の経過措置については、男性と同様の取扱いとなります。

【ニュースアンテナ3月号 税研情報センター】