確定拠出年金の拠出限度額引上げ
カテゴリ:03.ニュースアンテナ 
作成日:08/18/2014  提供元:税務研究会・税研情報センター



 平成26年10月1日より、企業型確定拠出年金の拠出限度額が引き上げられます。


●改正の内容




 確定拠出年金法施行令等の一部改正が平成26年6月18日に公布され、平成26年10月1日から施行されます。これは、昨年12月公表の平成26年度税制改正大綱(平成26年12月24日閣議決定)において、企業型確定拠出年金の拠出限度額の引上げが提言されたことを受けたものです。
 

 確定拠出年金は、拠出された掛金が個人ごとに明確に区分され、掛金とその運用収益との合計額をもとに年金給付額が決定される年金制度です。確定拠出年金の掛金の拠出に当たっては、「既存の企業年金制度等とのバランス」「他の個人向け貯蓄税制とのバランス」「高所得者優遇防止」等の観点から一定の限度額が設けられています。今回の改正は、若年世代も含めた従業員全体の将来の年金給付の充実を図ること等が理由に挙げられています。

 具体的な拠出限度額の引上げ額は下記のとおりです。

 他の企業年金がない場合:月額51,000円から月額55,000円へ引上げ
 他の企業年金がある場合:月額25,500円から月額27,500円へ引上げ


●確定拠出年金制度の概況

 確定拠出年金には、企業が掛金を支払う企業型年金と個人が支払う個人型年金があり、それぞれの実施主体は「企業型年金規約の承認を受けた企業」と「国民年金基金連合会」になります。加入できる者は、企業型年金では、実施企業に勤務する従業員、個人型年金では、(1)自営業者等、(2)企業型確定拠出年金、厚生年金基金等の対象となっていない企業の従業員、です。

 運用方法は、運用商品の中から加入者自身が運用指図を行い、運用商品は、預貯金、公社債、株式、信託等となっており、運用に失敗すれば年金が目減りするリスクがあるものの、加入者等が転職した場合等には、退職して国民年金の加入者となった場合には個人型年金へ、転職した場合には、転職先の企業型年金へ資産を移換することができるという利点があります。

 平成26年5月末現在(速報値)の企業型確定拠出年金の施行状況ですが、規約数4,460件、年金加入者数約4,971千人、実施事業主数18,675社となっております。個人型年金では、加入者数187,766名、事業所登録数116,848事業所となっています。今回の引上げは企業型年金のみが対象ですが、老後の生活を充実させるために、今後も制度が発展していくことが期待されています。

【ニュースアンテナ8月号 税研情報センター】