大型公共事業復活路線に 野党から批判独出
カテゴリ:01.週刊NP 
作成日:07/27/2012  提供元:エヌピー通信社



 参院で審議中の消費増税法案をめぐり、「消費増税を契機に公共事業を増やすのではないか」との批判が野党を中心に相次いでいる。政府は「財政規律は守る」と説明するが、民主党は大型公共事業を相次いで復活させ、自民、公明両党も公共事業重視の政策を掲げており、批判は収まりそうにない。

 批判が相次いでいるのは民主、自民、公明3党の修正合意で、防災や成長分野などに重点を置いた経済施策を検討することが法案に追加されたため。民主党内からも批判の声があがるなど、増える税収の使い道をただす声が続出した。

 2015年10月の消費税率10%への引き上げで増える税収は年13兆5千億円。政府は増収分をすべて社会保障に充てる方針で、1%分に相当する2兆7千億円を子育てなど社会保障の充実に、残る4%分(10兆8千億円)は社会保障費の赤字の穴埋めに使うとしている。ところが消費増税法案は「名目3%、実質2%の成長率を目指し、必要な措置を講じる」と明記している。さらに6月の3党合意では自民、公明両党の要望で「成長に向けた経済施策を検討する」との文言が追加された。

 しかし、社会保障費の増大を背景に、12年度予算は税収42兆3千億円に対し、新たに発行する国債(借金)が44兆2千億円に上る。安住淳財務相は20日の閣議後の記者会見で、「経済が成長し、税収が上がれば防災などの政策の優先順位を高めてやっていくということ」と反論したが、財政規律の維持が一層難しくなる恐れがある。