金商法改正案が衆院通過 虚偽実績での契約の刑事罰引き上げ
カテゴリ:01.週刊NP 
作成日:05/31/2013  提供元:エヌピー通信社



 AIJ投資顧問による年金消失事件を受け、運用会社が虚偽の運用実績を伝えて年金基金と契約を結んだ場合などの刑事罰を引き上げることを柱とする金融商品取引法などの改正案が5月28日、衆院本会議を通過した。今国会の成立は確実だ。

 改正案は、運用会社への刑事罰について、懲役を現行の3年以下から5年以下に、罰金を300万円以下から500万円以下にそれぞれ引き上げる。また、昨年には企業の公募増資をめぐり証券会社が企業情報を漏らした事案が相次いだため、これまで情報提供のみでは刑事罰の対象外だったが、違反取引をした場合は5年以下の懲役または500万円以下の罰金を科す。

 衆院財務金融委員会では、投資トラブルで顧客資金約1300億円を消失されたとされる米金融業者「MRIインターナショナル」のような業者に対する規制強化を求める意見も相次いだが、島尻安伊子内閣府政務官(金基金などの資産運用を行う投資運用業者の不正行為に対する罰則を強化するもの)と述べ、MRIは罰則強化の対象外だと説明した。

 金融商品取引業者は4種類に区分される。第一種金融商品取引業は、市場で流通する株式や債券などの売買を取り次ぐ一般的な証券会社などを指す。第二種金融商品取引業者は、主に市場を介さない流動性の低い金融商品を扱うMRIのような業者。投資運用業者は、投資一任契約を締結した顧客の資産を、有価証券などの取引によって運用するAIJ投資顧問などを指す。投資助言・代理業者は、顧客に対し投資のアドバイスをする。

 第二種業者への監督強化について、金融庁は「投資家の保護と自由な商取引のバランスが大切。MRIの問題は第二種業者全体の問題として普遍化できるほどではない」(幹部)と慎重な立場だ。