「日本酒」表示 純国産のみに ブランド力強化で輸出拡大
カテゴリ:01.週刊NP 
作成日:06/19/2015  提供元:エヌピー通信社



 国税庁は6月12日、日本米を原料に国内で製造された清酒のみを「日本酒」とし、国産ブドウのみを原料とするワインを「日本ワイン」と表示するルールを整備する方針を発表した。いずれも純国産のブランド力を高める狙いだ。

 「日本酒」はこれまで明確な定義はなかったが、世界貿易機関(WTO)の「地理的表示制度」のルールを活用し、年内にも「日本酒」を指定したい考えだ。地理的表示制度とは、特定の産地で特徴的な原料や製法などで作られた商品だけがその産地名(地域ブランド)を独占的に名乗ることができる制度。海外ではボルドー(ワイン)やパルマ(ハム)などが有名だ。

 国内では酒類の地理的表示は、「壱岐(焼酎)、「白山」(清酒)、「山梨」(ワイン)など計六つが指定されているが、指定するメリットへの事業者の理解が進んでいないこともあり、活用が進んでいない。国税庁は「日本酒」を指定することで輸出拡大に役立てようと目論む。

 指定後は海外の原料や産地で作られた清酒は「日本酒」と表示できなくなる。海外でも「ジャパニーズ・サケ」などと表示されていれば、現地政府との協定に基づき、取り締まりを求めることも可能だ。
 一方、ワインはブドウの産地が味を決める重要な要素。国産ブドウのみから製造された「日本ワイン」は近年、国際的なコンクールで入賞するほど高品質なものもある。国税庁は今秋にも表示ルールを策定し、2年程度の経過期間の後に新たな表示に全面移行したい考えだ。

 日本ワインはさらに、ブドウの産地と醸造地が同じ場合はその地名をワイン名に表示できる。例えば、山形産ブドウを原料に山形で醸造すれば「山形ワイン」。醸造地が他の場所ならブドウの産地を使用でき、「山形産ブドウ使用」などの表示が可能だ。輸入濃縮果汁や輸入ワインを混ぜて製造したものと区別し、消費者に分かりやすくする。