特例公債法案が不成立なら 10月に財源枯渇する見通し
カテゴリ:01.週刊NP 
作成日:07/13/2012  提供元:エヌピー通信社



 安住淳財務相は、赤字国債発行に必要な特例公債法案が今国会で成立しなければ、10月に財源がほぼ枯渇するとの見通しを発表した。消費増税で3党合意した自民、公明両党も、特例公債法への賛否を増税法案成立後の解散・総選挙を迫る「カード」と位置づけており、成立の見通しは立っていない。資金繰りの苦しさを示して協力を得る狙いがあるが、逆に政界では「10月までは決める必要がない」(関係者)との受け止め方も広がって、予断を許さない情勢だ。

 12年度一般会計予算の歳入90.3兆円のうち、税収など現時点で調達のあてがあるのは約6割(52兆円)。安住財務相の発表によると、支出は9月末に43.9兆円に達する見通しで、10月の平年支出額5兆円を合わせると、10月中にほぼ使い切る計算になる。

 そこで、残り4割(38.3兆円)の調達を担う赤字国債を発行可能にする特例公債法の成立を急がないといけない。成立しないと、今秋以降、地方交付税の配分が滞り、財政力の弱い自治体では銀行から借り入れを増やしたり、一部行政サービスの停止を余儀なくされたりするなど、国民生活に直接影響が出る可能性がある。

 財務省は9月8日までの今国会での成立を求めるが、政界ではむしろ「その後の臨時国会でいい」とする見方が強まっている。

 特例公債法をめぐって、早期解散の引き金にしたい自公両党と、景気対策も含む補正予算とセットにすることで解散を遅らせたい民主党の間で、国民生活を量りにかけた瀬戸際戦略が展開されそうな情勢だ。