政府 月例経済報告 11カ月ぶり上方修正 円安、株高で個人消費が改善
カテゴリ:01.週刊NP 
作成日:04/19/2013  提供元:エヌピー通信社



 甘利明経済再生担当大臣は12日、4月の月例経済報告を関係閣僚会議に提出した。輸出の判断を前月の「緩やかに減少している」から「下げ止まりつつある」へ、昨年5月以来11カ月ぶりに上方修正した。ただ、安倍政権発足後、前月まで3カ月連続で上方修正していた景気全体の基調判断は「一部に弱さが残るものの、このところ持ち直しの動きがみられる」に据え置いた。

 円安、株高に伴う企業の生産活動や個人消費の改善などに支えられて上方修正が続いたが4月は一服した格好。甘利担当大臣は「個人消費は持ち直しているが、輸出、設備投資が依然、弱め」と基調判断を据え置いた理由を説明した。

 個別にみると、個人消費の判断は前月までの「底堅く推移している」から「持ち直している」へ2カ月ぶりに上方修正。百貨店で高額品が売れるなど消費者心理が改善していることを反映した。先行きについてはマインドが改善する中で持ち直し傾向が続くと見込まれるとした。

 輸出の判断の引き上げは、米国の景気回復を背景に対米輸出が下げ止まったことなどを踏まえた。ただ、中国などアジア向けは依然、減少傾向が続き、日本経済回復のけん引役の輸出が「上向き」に転じるには、なお時間がかかりそうだ。

 一方、倒産件数については前月の「おおむね横ばい」から「このところ緩やかに減少している」と7カ月ぶりに上方修正した。東日本大震災からの復興需要や安倍政権の緊急経済対策に伴う公共投資積み増しで建設業の倒産が減っていることが影響したとみられる。

 甘利担当大臣は「海外景気の下振れが引き続き我が国の景気を下押しするリスクとなっていることに注視が必要」とも述べた。