平成26年 NISAの投資利益 3459億円
カテゴリ:01.週刊NP 
作成日:05/08/2015  提供元:エヌピー通信社



 平成26年1月に始まった少額投資非課税制度(NISA)で、利用者が1年間で儲けた利益の総額は約3459億8732万円だった。株高の影響を受けて、投資総額2兆9770億円の1割超にあたる利益が出ていたことが明らかになった。

 金融庁は4月24日に、「NISA口座の利用状況について」とする調査結果を発表した。NISAを取り扱う全金融機関713法人を対象に、制度がスタートした26年1月1日から同年12月31日までの利用状況を調査したもの。

 それによると、26年12月末時点でのNISA総口座数は825万3799口座で、総買付額は2兆9769億6913万円だった。このうち、投資未経験者による口座開設数は約194万口座で、全体の23.5%だった。

 もっとも多く買われた商品は「投資信託」の1兆9439億8383万円で、総買付額の65.3%を占めた。以下、「上場株式」9705億4972万円(商品別内訳32.6%)、「指数連動型投資信託(ETF)」343億3191万円(同1.2%)、「不動産投資信託(REIT)」281億368万円(同0.9%)と続く。

 多く買われた商品は投資信託だが、売却益をもっとも多く生み出したのは上場株式だ。投資信託の売却額1084億円に対して、上場株式の売却額は2753億円だった。購入額に対する売却額の比率でも、上場株式は28.4%ともっとも多い。逆に投資信託は売却率5.6%と、資産を動かさずに持っている人が多いことが分かった。

 NISA口座を開設した人を年齢層別でみると、60歳以上が全体の56.7%を占めた。「高齢者層の持つ資産を市場に出させる」という制度創設の意図は成功していると言えるが、一方で30歳以下の割合は12.6%にとどまり、「若年層に投資意識を植え付ける」というもう一つの目的は達成できていない現状も浮き彫りとなった。

 また、開設された口座のうち実際に稼働しているのは45.5%と半数に満たない。話題になっているからと口座を開設してみたものの、実際には株式や投信商品を買うなどの投資活動をまったく行っていない人が多いとみられる。

 政府は平成32年までに投資総額25兆円という目標を掲げているが、現在のペースでは達成は困難とみられている。NISAはすでに28年から投資上限枠を100万円から120万円に引き上げ、年80万円を限度に親や祖父母が20歳未満の子どもの名義で投資できる「子どもNISA」も新たに創設するなど、制度拡充が決定している。これまで投資をしたことがない人にまで制度が普及するかが、目標達成へのカギになるだろう。