財務相の諮問機関社会保障費の伸び幅「半分以下に」
カテゴリ:01.週刊NP 
作成日:11/27/2015  提供元:エヌピー通信社



 財政制度等審議会(財務相の諮問機関)は11月24日、2016年度予算編成に向けた建議をまとめ、麻生太郎財務相を通じ同日の経済財政諮問会議に報告した。20年度までに新たな借金に頼らず政策経費を賄えるようにする財政健全化計画(6月閣議決定)達成の正否は計画初年度の16年度予算にかかっていると指摘。年1兆円規模で増え続ける社会保障関係費について、改革によって伸び幅を「5000億円弱」に抑え、同計画の「目安」を厳守するよう求めた。

 建議では、社会保障関係費の今後3年の伸びを高齢化に伴う1兆5000億円に抑えるとした財政健全化計画の「目安」について、「3年間の目安だからといって伸びの抑制を先送りすることがあってはならない」と指摘。16年度の伸び幅は改革初年度であることを考慮して、単純な単年度換算である5000億円より厳しい水準にすべきとした。

 具体策として、16年度診療報酬改定での「一定程度のマイナス改定」を主張。実勢価格の下落に合わせ引き下げが常態化している「薬価」だけでなく、医師や薬剤師の技術料に当たる「本体」も引き下げるべきとした。17年度以降の歳出抑制を見据え、所得の高い高齢者の医療・介護保険の自己負担引き上げにも取り組むよう求めた。

 厚労以外の分野では、08年リーマン・ショック後に地方救済策として導入された自治体歳出特別枠の早期廃止を提唱。教育分野では少子化に伴う公立小中学校の教職員定数の大幅な削減や学校統廃合などを求め、公共事業などでも人口減を反映した「自然減」にとどめるべきとした。

 麻生財務相は同日の記者会見で「初年度から財政健全化計画の方向性を出していくことが重要だ」と述べ、16年度予算編成での歳出切り込みに意欲を見せた。財政審の吉川洋会長(東大院教授)も「始めが肝心だ」と強調した。