自民党税制調査会 強力な決定権 再び掌握 中立性や透明性は確保されるか
カテゴリ:01.週刊NP 
作成日:01/07/2013  提供元:エヌピー通信社



 安倍政権の発足で、税制の決定プロセスが大きく変わることになる。民主党政権で税制改正議論を実質的に主導していた政府税調は、各省庁の副大臣などを中心とした「決定機関」としての位置付けから、有識者を中心とした「諮問機関」的な位置付けに改められる。自民党は党税調が決定権を持つ09年の政権交代以前の体制に戻すが、税調の限られた幹部が重要方針を決定する仕組みは、中立性や透明性をどう確保するかが課題となる。

 民主党政権は、政府税調と党税調が併存した自民党政権時代の仕組みを「政策決定の二重構造」と批判。意思決定機関を政府税調に一元化した。しかし、「党員の意見が反映されていない」と反発が出たため、野田政権で党税調を復活させた。

 その結果、昨年の消費増税をめぐる議論では、「政権公約にない消費増税はおかしい」などと党内が反発。政府税調が党税調を抑えきれず、議論が二転三転するなど混乱を極めた。さらに政府税調も、副大臣が所管省庁の利害の代弁者となる側面が強かった。

 自民党政権の党税調では、税制に精通した一部の幹部による非公式会議(インナー)が事実上の決定機関となる。インナーの決定には首相さえも意見の出来ないほどの絶大な権限を持つ反面、「密室」で税制が決まることへの反論も根強い。自民党税調幹部はこうした批判に「各省の要求を最後に抑えるのは政治の世界。嫌われ者になるのが党税調の役割だ」としている。