財制審 農家個別補償を見直しへ 農村票を狙う民主は消極的 公共事業投資拡大へのけん制も
カテゴリ:01.週刊NP 
作成日:11/09/2012  提供元:エヌピー通信社



 財政制度等審議会(財務相の諮問機関)の財政制度分科会が7日開かれ、農林漁業や公共事業の予算を議論した。委員からは、民主党の目玉政策である農家の戸別所得補償制度や公共事業については、予算を抑制すべきとの意見が大勢を占めた。しかし、衆院解散・総選挙をにらみ、両分野の予算を増やそうという政治的な圧力が予想されるだけに、年末の予算編成での調整が難航することが予想される。

 民主党が導入した戸別所得補償制度はコメ、麦、大豆などの農家に対して、販売価格が生産費を下回っている作物の差額を農家に交付し、経営を安定させるのが目的だ。来年度予算の概算要求では、農林水産省は同制度で、一般会計と特別会計の合計で今年度並みの6901億円の要求をしている。しかし、審議会では、「所得補償が強い農家を育てることの障害になっている」、「農業の構造改革や規制緩和を進めることが必要」などの指摘が相次ぎ、補助金に依存した農政のあり方を見直すべきだという意見で一致した。自民党も同制度について「ばらまき」と批判し、今年度予算での減額補正を求めている。ただ、衆院解散・総選挙をにらみ、農村票を取り込みたい民主党は制度見直しに消極的だ。

 近年減少傾向にある公共事業をめぐっては、急速な少子高齢化と人口減少が見込まれるうえ、老朽化したインフラ設備の維持管理費が一定程度かかることから、公共事業への投資の増額は困難との意見で一致した。東日本大震災以降、全国で防災・減災事業が拡大している動きや、自民党が防災対策として、今後10年間で200兆円規模の公共事業投資を掲げていることなどをけん制する狙いもあるようだ。