内閣府 景気ウオッチャー調査を発表 先行き判断指数5カ月ぶりに低下
カテゴリ:01.週刊NP 
作成日:04/12/2013  提供元:エヌピー通信社



 安倍晋三政権が進める「アベノミクス」で円安・株高が進み、景気回復への期待が高まる中、景気の先行きを不安視する統計が早くも出された。内閣府が8日発表した3月の景気ウオッチャー調査では、街角の景気実感を示す現状判断指数は前月比4・1ポイント上昇して57・3となり、5カ月連続で改善して2000年1月の調査開始以降、過去最高だった06年3月と並んだ。その一方で、2~3カ月先の景気見通しを示す先行き判断指数は、前月比0・2ポイント低下の57・5ポイントと5カ月ぶりに低下した。円安による輸入価格上昇や電気料金値上げの懸念などが出始めているためで内閣府は景気の基調判断を「持ち直している」と据え置いた。

 調査結果をみると、「円安による原材料の値上げに対し、それを販売価格にすぐには転嫁できない」(近畿の化学工業)、「売り上げが落ち込んでいる状況での原材料の高騰は財務内容を本当に厳しくさせる」(北関東の食料品製造業)などと企業の厳しい見方も目立った。

 一方で、景気の現状に対しては、販売現場で「株価上昇に伴い、美術品や宝飾品などの高額商品が好調に売れている」(近畿の百貨店)、「春から夏にかけての旅行の予約状況は好調」(東海の旅行代理店)と、消費マインドが上向いていることをうかがわせる声が上がった。

 調査は、百貨店従業員やタクシー運転手など景気を肌で感じることができる職業に就いている2050人を選び、3月25日から同月末にかけて実施された。