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金融庁 1兆ドルにクラッときた イスラム債の配当非課税を要望
カテゴリ:01.週刊NP
作成日:10/01/2010 提供元:エヌピー通信社
原油価格の高騰により、産油国では巨額のイスラムマネーが蓄積されていると言われる。近年、こうしたイスラムマネーが欧米市場からアジア市場に流出する現象が起きているが、日本にはまったく取り込めていない状況だ。その背景には、税制の影響も少なからずある。
イスラム投資家は、シャリアと呼ばれるイスラム教の規則により、勤労に基づかない所得である「金利」を得ることができない。しかし、事後的に利益の分配を受ける「出資」ならば、シャリアに反せず投資が可能。その主な金融商品に「スクーク」と呼ばれるものがある。
金利を発生させずに出資の形態を取る必要のあるスクークの発行スキームは複雑だ。まず、資金調達をしたい事業者が特定目的信託へ資産を信託し、その資産を裏づけに事業者へ社債的受益権が発行される。投資家が投資を行う(スクークを購入する)ことで、社債的受益権は事業者から投資家へ移転し、その後、信託された資産は事業者へリースバックされ事業が継続される。事業者は特定目的信託に対しリース料を支払い、そのリース料は「配当」として投資家へ支払われる。また、スクークが満期を迎えることで事業者は資産を買い戻し、その代金がスクークの償還資金として投資家へ分配される。
この「配当」部分について海外の主要国では非課税とされている一方、日本では課税対象である(源泉分離課税)。そこで金融庁は、平成23年度税制改正要望の中で、この「配当」部分を非課税とすることを要望。現在、「全世界で1兆ドル程度」(金融庁)にも上るイスラムマネーを日本市場に呼び込みたい考えだ。
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