法人減税実現へ、議論本格化 財務省は火消しに躍起
カテゴリ:01.週刊NP 
作成日:01/24/2014  提供元:エヌピー通信社



 安倍晋三首相が政府の経済財政諮問会議(議長・安倍首相)で法人税減税について言及した。安倍首相は「税制改革では(増税による税収増と減税による税収減が同額である)レベニューニュートラルの考え方が取られてきたが、経済のグローバル化が進む中で、この考え方で対応するのがいいのか」と述べ、経済への波及効果も含めて法人税について幅広く議論していくことを求めた。

 1月20日の経済財政諮問会議では東芝の佐々木則夫副会長ら民間議員4人が「対日直接投資の促進に向けて」と題した資料を提出。「直接投資先として日本は法人税率が低いアジア諸国と競争していることを認識し、政府は法人実効税率をアジア近隣諸国並み(25%程度)に引き下げることを目指すべき」として、現行の法人税の実効税率35.64%から約10%の引き下げを求めた。

 一方、麻生太郎財務相は反論する形で会議に「法人課税の改革にあたって」という資料を提出。法人税の実効税率1%あたりの税収は14年度予算案で約4700億円にのぼり、10%の引き下げは税収全体(50兆円)の1割にあたる約5兆円の減収になることから、財源の確保なしには税率引き下げはできないとした。財源確保のために「政策税制の抜本的な見直しを含めた課税ベース拡大のみならず、他税目での増収策が必須」と述べた。

 会議後に記者会見した甘利明経済再生担当相は「安倍首相の発言は、減税による税収減を(増税で)補てんするのではなくて、経済にプラス影響が出てくることもあるという意味だ」と述べ、減税で経済が活性化することで、他分野で増税しなくても税収が自然に増える可能性を説明。今後、経済財政諮問会議の場で法人税減税した諸外国の事例を検証していく考えを示した。