軽減税率めぐり波乱の審議入り麻生氏「混乱は間違いなく起きる」
カテゴリ:02.週刊税研 
作成日:02/19/2016  提供元:税務通信



 消費税の軽減税率制度の導入を盛り込んだ税制改正関連法案が2月17日、衆院財務金融委員会で質疑に入り、本格的な審議が始まった。政府・与党は予算案とともに年度内成立を目指しているが、軽減税率に反対する民主党などが一時審議拒否するなど早くも波乱含みの展開となっている。

 同法案は委員会で特例公債法案と一括審議されることになったが、民主党と維新の党は両法案がそれぞれ重要法案だとして、分離して審議するよう要求。しかし、与党は受け入れず、16日の委員会で両党が欠席する中、法案の趣旨説明に入った。両党はこれに反発し、17日午前の審議を拒否した。このため、与野党は国対委員長会談を開催。与党側が安倍晋三首相の委員会出席を前向きに検討する意向を示したため、同日午後から審議が再開された。

 再開された審議では質疑に入り、野党は軽減税率制度に照準を当てて政府を激しく追及。政権寄りとされるおおさか維新の会も、新聞が軽減対象になった理由を問い詰めるなど徹底抗戦の構えを見せた。

 おおさか維新の丸山穂高氏は、ハンバーガー店などでの飲食と、持ち帰りでは適用税率が異なる点について、持ち帰り用として軽減税率8%の適用を受けて購入した商品を店内で食べた場合に標準税率10%との差額分の消費税を追加請求されるケースがあり得るのかただした。

 財務省の佐藤慎一主税局長は「事後確認までするのは極めて非現実的だ」と答弁。客が購入時に持ち帰る意思を示せば軽減税率が適用され、店内で飲食しても税率2%の差額を支払う必要もなく、税務署からも問題視されないとの認識を示した。佐藤氏は「きちっと意思確認していただければ問題ないと思う」とも述べたが、販売現場では混乱も予想される。軽減税率をめぐっては麻生太郎財務相も15日の衆院予算員会で「混乱は間違いなく、ある程度起きる」と発言。政府は混乱回避のため準備の重要性を強調しているが、苦しい国会対応を強いられそうだ。