モラトリアム法で67兆6千億円が猶予 期限が過ぎれば倒産の可能性も……
カテゴリ:01.週刊NP 
作成日:12/16/2011  提供元:エヌピー通信社



 中小企業等金融円滑化法(モラトリアム法)が施行された平成21年12月4日から今年9月末日までの間に、中小企業が同法に基づいて銀行や信用金庫、信用組合などに条件変更を申し出た件数は245万6633件で、そのうち金融機関が変更に応じたのは225万4760件であることが分かった。

 これは、金融庁が12月13日に公表した「中小企業金融円滑化法に基づく貸付条件の変更等の状況について」で分かったもの。「申込み」に対して金融機関が条件変更等を認めなかった「謝絶」は6万3189件となり、変更に応じた「実行」の割合は、「審査中」「取下げ」を除いて算定すると97.3%だった。実行金額は67兆6396億円にも上る。

 また、住宅資金借入者からは21万3225件の申し込みがあり、条件変更に応じたのは16万7034件、謝絶は1万5196件。実行と謝絶で見た実行率は91.7%。実行金額は3兆2650億円となった。

 モラトリアム法は返済の猶予を受けられやすくする制度だが、企業にとっては「単なる延命措置になりかねない」という懸念も残っている。事実、複数の調査機関の調べで、今年に入ってから同法利用後の倒産が増えていることが報告されている。例えば帝国データバンクによると、今年1~10月の関連倒産件数は142件で、昨年1年間の23件をすでに大幅に上回っている。