地震保険料 来年秋に19%値上げ 「半損」2分化して上げ幅抑制
カテゴリ:01.週刊NP 
作成日:06/05/2015  提供元:エヌピー通信社



 住宅向け地震保険の保険料が来年秋から全国平均で19%値上げされる見通しとなった。保険金支払いの基準となる損害区分も現行の3区分から4区分に細分化される。損害保険各社でつくる損害保険料率算出機構は、政府の地震調査委員会が昨年末に首都直下地震の発生確率予測を引き上げたことを受け、地震保険料を試算。現行より全国平均で28%値上げする必要があるとの結果をまとめていた。

 保険料は昨年7月、過去最大の上げ幅となる15.5%の値上げが実施されたばかり。試算通り28%引き上げれば短期間に加入者の負担が急激に増えてしまうため、機構と監督官庁の金融庁は数年間で段階的に引き上げることを検討した。

 しかし、機構に加盟する損保各社は地震発生リスクに備え、必要な保険料を早急に確保する必要があると主張。保険金の支払い基準となる損害区分の細分化を検討していた財務省の地震保険制度プロジェクトチーム(PT)に対し、値上げ幅を抑制する細分化案を三つ提示した。

 各案とも現行の「半損」を「小半損」と「大半損」に分割。保険金支払額は従来の「半損」が契約金額の50%なのに対し、「小半損」は30%、「大半損」は60%とした。損害の程度が「小半損」と認定される範囲を「大半損」よりも広く設定するほど保険金の支払額が抑制される仕組みで、3案の値上げ幅はそれぞれ28%、24%、19%。PTでは最も上げ幅が小さい19%案が採用された。

 これを受け、財務省は損害区分を「一部損」「小半損」「大半損」「全損」の4区分に改める方針。機構は今夏の理事会で来秋から保険料を値上げする方針を決め、金融庁に届け出る見通しだ。