日豪EPA交渉本格化 難航するTPP協議打開狙い
カテゴリ:01.週刊NP 
作成日:03/20/2014  提供元:エヌピー通信社



 難航している環太平洋経済連携協定(TPP)の日米協議を打開する切り札として、日本と豪州との経済連携協定(EPA)が浮上している。日米協議で米国は、コメや牛肉などの農産品5項目の関税の税率引き下げでなく撤廃を求めている。だが、米国とともに日本の牛肉の主要な輸入元である豪州と関税率引き下げで合意できれば、豪州産の牛肉だけが低い関税で輸入され、米国産の牛肉には不利になることを突きつけることで、米国側の譲歩を引き出す狙いだ。

 日豪EPA交渉は2007年4月にスタートし、日本は自動車などの工業品、豪州は牛肉の関税率引き下げをそれぞれ求めて対立が続き、7年目を迎える長期戦となっている。日本は、冷凍牛肉の関税を38.5%から30%程度に引き下げる譲歩案を示したが、豪州側は輸出量が多い冷蔵牛肉の関税撤廃も求め、合意には至らなかった。

 豪州のアボット首相は4月上旬に来日し、6月には安倍晋三首相が豪州に渡り、それぞれ首脳会談を開く予定。甘利明TPP担当相はテレビ番組で「向こう側の要望としては、豪州の首相が来た時に大筋合意、安倍総理が豪州に行った時に調印ができるようにしたい」と述べ、4月の大筋合意を目指す方針を表明。「豪州の牛肉の方が安いなら消費者はそっちを選択することになる。日米にとっては早く課題を解決しないといけないという環境にはなる」とも話し、日米協議に有利に働くことに期待した。

 3月下旬には豪州のロブ貿易・投資相が来日する予定で、日豪EPA交渉とともにTPP交渉も大きく動き出しそうだ。