TPP交渉、年内妥結断念 各国の対立浮き彫りに
カテゴリ:01.週刊NP 
作成日:12/13/2013  提供元:エヌピー通信社



 環太平洋パートナーシップ協定(TPP)の閣僚会合がシンガポールで12月7~10日に開かれ、協議が難航していた関税や知的財産権、国有企業などで各国との溝が埋まらず、当初目標としていた交渉の年内妥結を断念して交渉を越年させることを確認した。日本を含む参加12カ国は2014年1月に改めて閣僚会合を開いて交渉を継続するが、米国は来年11月に中間選挙を控えて強硬姿勢を貫くことも予想され、交渉は来春にも合意か決裂かの正念場を迎えそうだ。

 会合終了後の共同記者会見で、米通商代表部(USTR)のフロマン代表は「実質的な進捗を遂げることができた」との共同声明を読み上げ、成果を強調した。だが、会合では難航分野の対立解消の難しさが改めて浮き彫りとなり、一時は記者会見の開催すら危ぶまれ、西村康稔副内閣相は「これだけ議論しても見解の違う部分がある」と、難航分野の政治決着に至らなかったことを認めた。

 日米の関税協議でも、コメ、麦、牛・豚肉、乳製品、砂糖の「重要5項目」の関税維持を目指す日本は、関税全廃を求める米国から譲歩を引き出せなかった。それでも、交渉妥結が越年されることになったことで、日本の関税協議だけが取り残され集中的に議論される最悪の事態は回避された。

 知的財産権の分野では、新薬の独占販売期間の延長を求める米国と、特許切れの安い後発薬が作りにくくなるとするマレーシアなど新興国が対立したまま、妥協点を見いだせなかった。国有企業の分野でも、大手国有企業が経済を支えるベトナムやマレーシアなどと、民間企業と同等の競争条件を求める米国との対立を解消できなかった。

 共同声明では、「今後数週間、集中的な努力を続け」、首席交渉官会合などを経て14年1月に再度閣僚会合を開くことも明記。西村副内閣相は共同会見終了後、「1月の会合(での妥結)を目指して努力したい」と早期妥結への意欲を口にしたが、各国とも譲れない分野が残っており、交渉の行方は依然、霧の中だ。