自民・金融調査会「フィンテック」活用促進を提言
カテゴリ:01.週刊NP 
作成日:04/08/2016  提供元:エヌピー通信社



 自民党の金融調査会が、金融とITの融合による技術革新「フィンテック」のさらなる活用を促す提言をまとめた。提言書の中では、フィンテックはこれまでの決済や資産の管理・運用サービスだけでなく、人工知能を活用した融資審査やネットショッピング市場での取引・決済情報を活用した出展者向け融資に広がっていると指摘。今後、ITによる中小企業の資金調達への寄与や、保険業務にも拡大していくと予測している。その上で「日本発のフィンテックの創出・成長」の必要性を強調し、金融機関とIT企業との連携の推進や法改正も踏まえた環境整備を進めることを提言している。

 フィンテックをめぐっては、政府側も連動して活用への後押しを進めてきている。昨年末に首相の諮問機関である金融審議会がまとめた報告書では、金融関連IT企業への出資制限の緩和や、銀行グループ内外での決済関連事務などの受託の容易化を盛り込んだ。今国会に法案を提出してこうした改正を進めている。

 ここにきて政官でフィンテックに対する動きが活発になってきたのは、このままでは世界で遅れをとってしまうとの危機感があるためだ。フィンテックは「ファイナンス」と「テクノロジー」をあわせた造語。フィンテック関連企業への投資は2014年に世界で約122億ドルに達しているとの試算もある。欧米などの金融機関は買収などでサービスを拡大する動きが相次いでおり、AIやビッグデータなどの技術革新と連動して、決済や送金、口座管理などの分野で次々と新しいサービスを開発している。

 日本でもメガバンクなどは現行制度の範囲内でフィンテックビジネスに乗り出し始めたが、このままではルール作りや市場確保で大きく遅れをとってしまう危険性もある。自民党の提言は政府が5、6月にも策定する新たな成長戦略にも反映される。技術革新にはIT業界の協力も不可欠で、今後はさらに金融規制の緩和を求める動きも強まりそうだ。