エネルギー基本計画 原発再稼働に向け本格化
カテゴリ:01.週刊NP 
作成日:02/18/2014  提供元:エヌピー通信社



 都知事選の舛添氏勝利受け2月9日投開票された東京都知事選で、自民党東京都連と公明党東京都本部が推薦した元厚生労働大臣の舛添要一氏が初当選した。安倍政権は、小泉純一郎元首相が支援した細川護熙氏が「脱原発」を訴えて争点に掲げたことから、「エネルギー基本計画」の改定作業を中断していたが、再び原発再稼働へ動き出した。

 経済産業省の総合資源エネルギー調査会が昨年12月にまとめた基本計画の素案では、原子力を「安全性の確保を大前提に引き続き活用していく、エネルギー需給構造の安定性を支える基盤となる重要なベース電源」と位置づけ、原子力発電を重視する方向を示していた。

 細川氏出馬の動きを受けた今年1月10日の記者会見で、甘利明・経済再生担当相は、細川氏の動きを「殿ご乱心」と揶揄し、「全原発が停止しているために、海外へ毎日、1日100億円の垂れ流しが続いている。これを放置することは政治家として努力が足りない。地域の声はしっかりと聞き、安全に対する不安は最大限取り除いていき、安全で安定的に、低廉なエネルギーを供給することを確保していくのは政治の責任だ」と発言。火力発電の燃料調達で海外に資金が流出している現状を改善し、電気料金を下げて企業活動を円滑にするために、原発再稼働が不可欠だと強調した。

 一方で、原発を推進してきた経済産業省では「細川氏が当選すれば、エネルギー基本計画は練り直しになりかねない」と危機感が広がっていた。しかし舛添氏は、2020年の東京五輪の成功を前面に掲げ、原発の稼働数は減らしながら進めていくと主張。投票の結果、舛添氏は211万票を集め、「脱原発」を訴えた宇都宮健児氏と細川氏がそれぞれ98万票、95万票となった。

 この結果を受けて、安倍首相は10日の衆院予算委員会で「新たなエネルギー基本計画は、しっかりと整合性が取れて分かりやすいものを作る必要がある」と、これまで通りの方針に沿って計画を策定する考えを表明し、都知事選でとん挫したエネルギー基本計画の策定作業は再び動き出した。