アンカラG20各国が中国への構造改革促す周総裁、バブル「はじけた」
カテゴリ:01.週刊NP 
作成日:09/11/2015  提供元:エヌピー通信社



 トルコの首都アンカラで9月4~5日に開かれた主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は、世界同時株安など金融市場の混乱をもたらした中国に対し、各国が構造改革などの注文や政策への不満をぶつける場になった。共同声明に人民元切り下げをけん制する文言が入ったことで週明けの金融市場はやや落ち着きを取り戻したが、世界経済を震撼させるのに十分な中国のバブル崩壊懸念自体は残ったままで、今後も予断を許さない状況が続く。

 「バブルがはじけるような動きがあった」。4日行われた世界経済の討議。麻生太郎財務相によると冒頭発言を指名された中国人民銀行(中央銀行)の周小川総裁は「はじけた」と3度も言及。6月のピークから2カ月半で4割も急落した株式市場の急変に強い懸念を表明した。

 G20の議論は、日米欧の経済情勢の点検から始まるのが通例。あえて中国から議論を開始したことは、各国の危機感を物語る。中国の楼継偉財政相は「今が中国にとって改革の時だ」と経済のかじ取りに自信をみせたが、各国からは「中国の減速が世界経済のリスク」との指摘が相次ぎ、麻生財務相は「市場の変動は中国の構造的問題の鏡像だ」と、いら立ちをぶつけた。

 各国が中国への懸念を高める背景には、どこまで中国経済の実態が深刻なのかが見えない不透明感がある。米国のルー財務長官は「問題は、中国当局が効率的に秩序立てて、状況を管理できているかだ」と政策運営への不信感をあらわにした。G20の場を使って中国に透明性の向上や改革の実行を迫る姿勢をアピールすることで、市場の不安を和らげることを狙った形だ。

 楼財政相らは会議で、輸出や投資に過度に依存する中国経済の構造を改革し、消費を中心に内需主導型の経済への転換を進める意向を強調。これに対し「経済成長を維持するための強い意思が伝わった」(欧州連合のモスコビシ欧州委員)と評価する声も出た。ただ「具体的な話まではなかった」(麻生財務相)との声もあり、中国経済が市場の信頼を取り戻せるかは不透明だ。麻生財務相は会議後の記者会見で「構造的な問題に取り組む必要があることが浮き彫りになった」と述べた。