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狙われる国際間の高額取引 移転価格、タックスヘイブンの網
カテゴリ:01.週刊NP
作成日:05/27/2011 提供元:エヌピー通信社
税務当局がニラむ企業活動のひとつに、国際間の取引がある。景況の悪化で法人税収が低下する中、取引規模が大きく多額の徴税が見込める海外の資金経路を狙っているのだ。海外子会社との商取引を一網打尽にする移転価格税制が適用されるケースも続出している。また海外を中心に活動している企業に対して、原則として国内事業に限定して課税が発生する消費税を賦課する動きもある。
海運大手の「川崎汽船」(兵庫・神戸市)が海外の租税回避地(タックスヘイブン)を利用した所得隠しを行ったとして、大阪国税局から約64億円の申告漏れを指摘されていたことが分かった。追徴税額は重加算税を含め約19億円に上るとみられる。
関係者によると、パナマの同社子会社が発注した船舶4隻にかかる契約額について、法人所得を不当に圧縮するために水増しされたものと判断されたという。海外子会社は通常、現地で納税するが、パナマなど課税率の極端に低い一部の国・地域についてはタックスヘイブン対策税制の適用があり、日本の親会社と所得を合算して国内で申告・納税しなければならない。
同社は当局の処分を受けて異議申し立てを行う見通しだが、近年、海外子会社との国際取引にタックスヘイブン対策税制や移転価格税制の適用を受けて、多額の課税処分を受ける会社が相次いでいる。
特に移転価格税制が適用された場合、国際間の親子会社での取引に対して、当局が「課税逃れのために不当に高い(安い)取引」として全否認してしまうだけに、課税額も非常に高額になる傾向がある。平成20年には自動車の「ホンダ」が東京国税局から中国での事業について移転価格税制に基づく約1400億円もの申告漏れを指摘されている。
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