景気動向指数 数値修正で現状と大きなズレ 日本経済復興の道遠く
カテゴリ:01.週刊NP 
作成日:11/11/2011  提供元:エヌピー通信社



 内閣府が7日発表した9月の景気動向指数(CI、2005年=100)は、景気の現状を示す一致指数が前月比1.4ポイント低下の88.9だった。東日本大震災前の今年2月の水準(94.3)を大きく下回っており、日本経済の回復の歩みの鈍さを浮き彫りにした。

 内閣府は従来、6月以降、一致指数は2月実績を上回って推移しているとするデータを公表してきた。それが一転したのは、9月分からデータの集計手法を変更したためだ。

 従来の手法では経済全体が大規模に落ち込んだ場合、それを異常値とみなして変動幅を一部切り捨てる処置を施してきた。このため、2008年秋のリーマン・ショックや東日本大震災による景気の落ち込みも「異常値」となり、景気が大きく落ち込んでいるにもかかわらず、その指標となる景気動向指数は高い水準を示す事態が続いていた。

 今回、異常値の扱いを改めた結果、従来は107.4とされていた8月の一致指数は90.3に下方修正され、実際には2月実績を遙かに下回っていたことが分かった。一致指数に基づく景気の基調判断も従来の「改善」から「下げ止まり」に修正を迫られた。

 景気動向指数は、景気の拡張期のピークである「山」と、後退期の底打ちを示す「谷」を判定する経済の基本統計。集計手法の変更に伴う大幅な数値の修正は、同指数が長く経済の実態を正しく反映していなかったことを証明した形で、批判を招く可能性もある。