総務省が通知ふるさと納税の返礼品は「3割」
カテゴリ:01.週刊NP 
作成日:03/24/2017  提供元:エヌピー通信社



 礼品がインターネットで転売されている問題に絡み、寄付金額に対する返礼品の価値を「3割」までとするよう全国の自治体に通知を出す方針を、総務省が固めた。総務省が返礼品について金額的な目安を打ち出すのは初めてのことだ。一部の自治体が寄付金の「7割還元」を謳う返礼品などを送っていたことなどを受け、より具体的な上限を示すことで返礼品競争の過熱を抑えたい考えがある。

 問題のきっかけとなったのは千葉県勝浦市が送っていた「かつうら七福感謝券」だ。1万円の寄付に対して市内の店舗で使える額面7千円の商品券で、昨年4月に商品券を返礼品に加えてから、同市には約18億円の寄付が集まり、10億円分の商品券が発行された。この商品券がインターネットなどで転売される事例が後を絶たなかったことから、今年2月には高市早苗総務相が「現状の制度には問題がある」と述べ、「あらゆる課題を一度洗い出し、どのように改善できるのかを検討する」と制度を見直す方針を示していた。なお三浦市は、高市氏から名指しで批判を受けて「7割金券」の中止を決定している。

 ただ総務省の今回の通知は自治体に対する「要請」にとどまる。法的拘束力などは持たないため、あくまで自治体側の対応に委ねるしかないのが実情だ。具体的な上限の目安を設定するのは今回が初めてだが、総務省はこれまでにも返礼品競争の過熱を見かねて全国に「要請」を出したことはあり、換金性の高いものなどを返礼品とすることは自粛するようたびたび呼び掛けてきた。しかし自治体からは寄付を集めるためには目玉となる返礼品が必要との考えも根強く、今に至っているわけだ。

 総務省の通知を待つまでもなく、「返礼品は寄付金額の3割程度」という基準は、すでに多くの自治体が採用している実態がある。改めての要請は基準を定めている自治体にとってはいまさら言わずもがなで、そうでない自治体にとっては「余計な一言」に過ぎないかもしれない。