地震保険 全国平均30%値上げへ
カテゴリ:01.週刊NP 
作成日:05/22/2015  提供元:エヌピー通信社



 地震保険料を決める損害保険料率算出機構は、政府が首都直下地震の発生確率予測を引き上げたのを受け、保険料を全国平均で30%程度値上げする必要があるとの試算をまとめた。過去最大の値上げ幅となった2014年の15.5%と比べて約2倍で、一気に引き上げれば契約者離れを引き起こしかねない。このため、機構と監督官庁の金融庁は数年がかりで段階的に引き上げる方向で検討している。

 政府の地震調査委員会は14年末、首都直下地震に関し、30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率を関東地方を中心に引き上げ、東京都新宿区46%(13年末26%)、さいたま市51%(同30%)、横浜市78%(同66%)などとした。これを受け、機構が必要な保険料の水準を検証していた。

 都内のマンションに住む人が補償上限1千万円の地震保険に1年契約で加入した場合、現行の保険料は約2万円。30%引き上げられると、値上げは約6千円になる計算だ。ただ、保険料は居住する都道府県や住宅の構造によって異なる。地震の発生確率が高い地域は上げ幅が30%を超える可能性がある一方、耐震性能が優れている住宅であれば30%を下回ることもあり得る。首都圏以外の加入者も相互扶助の観点から一定の値上げの対象となる見通しだ。

 地震保険をめぐっては財務省も有識者によるプロジェクトチーム(PT)で制度改革を検討している。現行では「一部損」「半損」「全損」の3つの損害区分に応じて保険金が支払われるが、よりきめ細かい支払いを可能にするため、区分の細分化に向けた議論を急いでいる。保険料の値上げが始まる時期や具体的な上げ幅はPTの検討の進ちょく状況に影響される可能性もある。