16年度予算成立増税延期じらし戦術の行方は?
カテゴリ:01.週刊NP 
作成日:04/01/2016  提供元:エヌピー通信社



 政府の2016年度予算成立により、永田町・霞ケ関の焦点はいよいよ17年に予定する消費増税延期の是非に移る。首相周辺の度重なる「延期すべき」発言により、既に市場は延期を織り込みつつあるが、安倍晋三首相は今も延期の可能性を否定し続けている。檜舞台の5月の伊勢・志摩サミットまで可否判断を明らかにせず、世間の注目を集め続けようという「じらし戦術」にも見える。

 「リーマン・ショックや大震災のような重大な事態が発生しない限り、来年予定通り引き上げる考えに変わりはない」。安倍晋三首相は3月29日、予算成立を受け開いた記者会見で「消費増税を先送りするのか」との記者の質問にそう断言した。この答え方はこれまでの国会答弁と一緒。カメラ向けの笑顔を振りまきながら、暗記済みの想定問答を読み上げたに過ぎない。

 「ここまで延期を織り込んだ後に増税したら市場は混乱を来しかねず、そんなことはしないだろう」と証券アナリストは言う。

 消費低迷などで1~3月期GDP速報が2四半期連続のマイナス成長に陥るとの予測もある中、与党からは大規模な補正予算編成を求める声が上がるが、より待望されているのが消費増税先送りだ。

 2ポイントの消費増税延期は日銀試算で0・7ポイント分のGDP押し下げ影響を消し去れる上、消費税は誰もが意識する身近な税。夏の衆参ダブル選すらささやかれる中、先送りは確実に票になると見られるためだ。「首相のこれまでの発言がうそになる?関係ない。国民は負担が少ない方を好む」と若手衆院議員は断言する。

 懸念材料は財政健全化計画との兼ね合いだ。政府は2020年度に新たな借金に頼らず政策経費を賄えるようにするプライマリーバランス(PB)黒字化目標を掲げているが、元々ハードルが高い目標な上に増税延期で歳入が減ってしまえば達成は益々難しくなる。
 政府内には「計画にこだわる必要はない」との声もあるが、ある政府筋は「2年程度の延期なら健全化計画との整合性はクリアできる」と指摘する。PBは単年度収支で計算するため、黒字化目標年限の20年までに消費増税を済ませれば影響はないとの理屈だ。
 首相の発言とは関わりなく延期の検討は政府内で進みつつある。