不良債権 98年度以降で最少 全国115行の14年3月期
カテゴリ:01.週刊NP 
作成日:07/25/2014  提供元:エヌピー通信社



 全国115行の抱える不良債権の総額が、開示の始まった98年度以降、過去最少となった。長引く景気低迷で不良債権問題が深刻化した01年度のピークと比べ、13年度には4分の1以下に減少した。かつての金融危機を脱した状態だが、本業の貸出による収益は低迷が続く。安倍政権の経済政策では融資の拡大に期待が寄せられており、金融庁も銀行の収益力の向上を後押しする考えだ。

 金融庁が全国115行の14年3月期決算をまとめたところ、不良債権残高は前年同期より1.7兆円減り、約10.2兆円だった。不良債権比率は02年3月期に全体で8.4%だったが、主要行が1.33%、地銀が2.72%と、それぞれ大幅に改善した。

 不良債権は経営状態の悪い企業への融資で、貸したお金が返ってこないリスクを示す。13年度はある程度景気が上向き、焦げ付きそうだった融資に返済のめどが立ち、多くの不良債権が「正常化」したとみられる。

 不良債権が順調に減る一方、企業への融資などの本業から得られる収益は資金需要の低迷などから伸び悩みが続く。14年3月期決算も、主要行の3グループで本業の収益が前年と比べて減益した。

 金融庁は不良債権への対応が中心だった検査・監督体制について、13年秋から業界横断的に課題を探って評価する方針に転換。7月には検査結果を公表し、業界全般の課題に本業の伸び悩みを挙げ、改善を促した。

 金融庁が狙うのは、銀行が融資先企業に経営改善策を積極的に提案して資金ニーズを掘り起こし、企業と銀行が両輪で成長すること。金融庁幹部は「金融危機を脱した今後は、はっきりと『金融育成庁』を目指し、銀行が適切なリスクを取るよう促す」と意気込む。