ネオギルド関連裁判 税理士二世は温情判決
カテゴリ:01.週刊NP 
作成日:05/07/2001  提供元:エヌピー通信社



 会計事務所の事業承継という問題を抱えながら脱税請負に加担し、無免許で税理士行為をした税理士二世の会計事務所職員に対し、このほど温情判決が下された。同職員が問われていたのは、脱税請負に絡む法人税法違反と所得税法違反、税理士法違反の罪。
 東京地裁の池田耕平裁判長は、「手口は架空のコンサルタント手数料を計上するなど、大胆で会計職員の実務経験を悪用。無免許税理士行為を2年間も行い、委任者に被害を与えたなど悪質」として検察の求刑通り懲役3年、罰金1千万円を言い渡した。しかし情状を酌量し5年の執行猶予を付けている。
 この事件は、国税に影響力があるかのように装った一連の脱税請負人グループ「ネオギルド」事件に絡んだもの。判決によると同職員は、芸能に関係する会社など3社の法人税について合計2億2千万円ほどの脱税に関与したほか、個人の土地売買に絡む譲渡所得税1億1千万円ほどの脱税を請け負っている。無免許の税理士行為については、平成10年から2年間にわたり個人2名、法人31社から委託を受け87件もの申告書作成などを行っていたという。
 池田裁判長は量刑にあたり「罪の重さ」を再三にわたり強調し、「法人税と所得税の脱税では、懲役と罰金、税理士法違反では懲役を課すこととした」としている。だが、税理士法違反については「実父の経営していた会計事務所は、実父が高齢になるに従って、被告に任せきりになっていた」事実などを指摘、こうした事情を総合勘案して情状酌量したとしている。
 中小企業のみならず、会計事務所であっても事業承継は頭の痛い問題。ただ税理士の資格は一身専属であるところが異なる点とあって、これが会計事務所の事業承継に影を落としている。今回の判決でも、そういった事情が反映された。

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