甘利経再相 法人減税、数年で20%台へ 「骨太の方針」明記へ意欲
カテゴリ:01.週刊NP 
作成日:05/09/2014  提供元:エヌピー通信社



 法人税の実効税率引き下げを巡り、甘利明経済再生担当相が発言を強めている。6月に策定する経済財政運営の基本方針「骨太の方針」での打ち出し方について、5月5日には「30%を切っていく姿がマーケットにインパクトを与える」として20%台を目指す方針を表明。5月6日(日本時間7日)には経済協力開発機構(OECD)閣僚理事会出席のため訪れたパリで、来年度からの減税実施を明記したいと踏み込んだ。

 甘利氏の発言には、骨太の方針のとりまとめ役として早期に「来年度から数年で20%台」との絵姿を示すことでマーケットの期待をつなぐと同時に、慎重論が根強い自民党税制調査会の外堀を埋める思惑がありそうだ。

 大型連休中、安倍晋三首相は欧州6カ国を訪問し、ロンドンの金融街シティーでの演説をはじめ各地で経済政策「アベノミクス」を積極的にアピール。一方で、法人税については「さらなる法人税改革を進める」として具体論には触れなかった。

 首相の発言について甘利氏は6日の記者会見で「自民党には税調という長い歴史を持つ権威ある会合がある。その中で議論してもらいたい思いがあるのだろう」と解説。一方で「方向性だけでは漂流する恐れがある。(来年度から)『始める』ということはきっちり意思表示することが肝要だ」とクギを刺した。連休前には、首相が外遊中に自ら踏み込むとの観測も流れたが、ここでは役割分担をした形だ。

 骨太の方針では、法人減税の方針が明記されるのは確実な情勢で、焦点は減税の開始時期と下げ幅に移りつつある。甘利氏の発言に自民党税調幹部は「願望だ」とけん制。「書きぶり」を巡る駆け引きは本格化している。