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JT完全民営化で小売店への影響が焦点に 中小・零細経営者は深刻なダメージを懸念
カテゴリ:01.週刊NP
作成日:10/14/2011 提供元:エヌピー通信社
東日本大震災の復興財源確保のため、政府が検討する日本たばこ産業(JT)株の全株売却を巡り、たばこ小売店への影響が新たな焦点として浮上している。完全民営化されれば、現在たばこ事業法で規定するJTから小売店への1割のマージン確保が担保されなくなる可能性があるためだ。国内の葉タバコ農家保護のためJTに課された全量買い取り制度と合わせて、現行の支援制度の後退が与野党議員の反発を招くのは必至で、全株売却の実現は一段と難しくなりそうだ。
たばこ事業法は、小売り店保護のため、JTによる卸価格を店頭価格の9割に抑えることで、差額分を小売りのマージンとする「最高販売価格」制度を設けている。フィリップ・モリスなど外資たばこ会社は対象外だが、JTとマージンの差がありすぎると自社製品が店舗で取り扱われなくなるため、JTに準じた水準を払っている。
しかし、完全民営化されれば、この制度を担保する法規制はなくなる。一般株主から「小売りに手厚いマージンをなくすべき」との声が高まるのは確実で、これにならって外国会社も一斉に見直しに進めば、たばこ増税による販売減や、コンビニなどとの競争に苦しむ中小・零細店の経営は深刻なダメージを受けかねない。
一方、喫煙者から見れば、マージンが減れば、その分今後の値下げにつながるようにも思える。しかし、たばこの店頭価格は財務相の認可制度。財務省からは「国民の健康推進の観点から、値下げは認めにくい。その分増税で埋め合わせすることになるだろう」との声も聞こえてくる。
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